さ行の作家
澤康臣『事実はどこにあるのか 民主主義を運営するためのニュースの見方』を読みました。 筆者はジャーナリストだ。ジャーナリストがジャーナリズムについて書いた本だ。そう書いたはいいけれど、何か含みがあるわけではない。私はこの本を「ふむふむ、なる…
坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を読みました。 書き手の坂本龍一という人の気配が濃かった。そして、坂本龍一は、もうこの世にはいない。 死に対する考察よりも、自分の生についてひたむきなテキストだったと思う。それは同じことを言ってい…
ジェス『結婚するとは思いませんでした。』を読みました。 dorian91.hateblo.jp dorian91.hateblo.jp 2020年から海外文学をまた意識的に手に取るようになって、2022年後半からは韓国文学も読んでいきたいなと思っている所存。アメリカ文学、イギリス文学、ド…
坂口恭平『継続するコツ』を読みました。 継続することについての本。だけども、これはもやは人生観、哲学、幸福論とも呼べる一冊だと感じた。つまり、坂口さんにとって継続することは人生であるということ。 この本を読みながら、やっぱり「自分がどういう…
ジェーン・スー『私がオバさんになったよ』を読みました。 「私は決して最初の人類ではないのだから大丈夫だ」みたいな感覚がある。どれだけの人間が生まれ、どれだけの人間が死んだか。それらすべてに物語があり経験があり思索があった。であれば、私たちは…
アリ・スミス『春』を読みました。 アリ・スミスの話は読んでいてとても刺激的だ。よくわからないところがいい。わかりたいけれど、今の私はわからないのだろうという感覚。花が至る所に咲き乱れる山みたいな話を書く。私はその山をまだ登ることができない。…
最果タヒ『コンプレックス・プリズム』を読みました。 いわゆる「小説ではない」本の読み方は様々である(いや、本のいうのは総じて読み方は様々だ)。中でも好きな読み方は「文章をからだに通す」というような読み方で、何も考えず、ただ水を流すように文章…
坂口安吾『明治開花 安吾捕物帖』を読みました。 なぜこの本を本棚から引き抜いて読もうと思ったのか、まったくもって思考回路が不明なのですが、とにかく読みました。一体何を思ったのか。坂口安吾、読んだことのある作家でもないしなあ。 とはいえ、面白か…
ラース・スヴェンセン『働くことの哲学』を読みました。 この本が教えてくれたこととして、心に刻もうと思ったことが1つある。それは、「仕事とは何か」という問いに対する答えは有史以降常に変化を遂げてきたし、これからも変容していくだろうということだ…
坂口恭平『cook』を読みました。 dorian91.hateblo.jp 再読です。料理を作っている合間に読みました。楽しかったです。 cookという料理本はまず装丁が可愛い。所有欲が満たされる装丁です。レシピも載っているけれど、レシピ本というより料理の実践本です。…
佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』を読みました。 線が綺麗だなと思ったので読んでみました。恋愛漫画は普段は読まないのだけれど、たまには読んでみるかと「月一漫画プロジェクト(月に1冊漫画を読んでみる)」の一環。 いわゆるBL作品をどう…
白岩玄、山崎ナオコーラ『ミルクとコロナ』を読みました。 図書館の本棚に並べられた背表紙を眺めていたら気になったので読んでみた。 作家同期の白岩さんと山崎さんの往復エッセイ。こういう往復形式の書簡なり小説なりエッセイなりは、お互いがお互いに影…
最果タヒ『恋人たちはせーので光る』を読みました。 詩の読み方がわからない。 詩 ①(文学の一形態として)自然・人情の美しさ、人生の哀歓などを語りかけるように、また社会への憤りを訴えるべく、あるいはまた、幻想の世界を具現するかのように、選び抜か…
鈴木大介・鈴木匡子『壊れた脳と生きる: 高次脳機能障害「名もなき苦しみ」の理解と支援』を読みました。 興味深い内容でした。医療従事者でもなければ、例えば脳梗塞や脳卒中の後遺症による(つまり筆者の鈴木大介氏のような発症例)高次脳機能障害を患う知…
島本理生さんの『匿名者のためのスピカ』を読みました。 私はこの本を読んで「七澤君!!!」となりました。案の定女性読者に人気の登場人物らしい。主人公の笠井君よりよほど「七澤君」だろう。でも七澤君は主人公ではありえない。直感的に、それは間違いが…
アリ・スミスの『ホテルワールド』を読みました。 難しかったし、読むのに苦労した、というのが最初の感想。でもそれが悪くない感じ。むしろこの難解さ、複雑さがこの本の魅力だと言ってしまってもいいのではないか。5人の登場人物たちの混沌とした思考。連…
坂口恭平さんの『cook』を読みました。 料理って実践だよな、と思う。創造的。その通り。料理研究家の土井さんの著作を読んで「なるほど」と思ったのは、人は料理に対して厳しすぎるところがあるということ。もっと軽やかに、作っていいはずだ、料理ってのは…
アリ・スミスの『秋』を読みました。 めっちゃ良かった…。読んでいて楽しかったし沁みました。 EU離脱ブレグジットに揺れるイギリスが舞台です。眠り続ける時間が長くなった101歳の老人とその傍らで本を読む女性エリサベス。彼女の今と過去と老人ダニエルの…
コーリー・スタンパーの『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』を読みました。 ただただノリで叫ぶなら「最高にエキサイティングした本!」でした。めっちゃ刺激的で面白い本です。この本、歩く人におすすめしたい。いいから読め。 私はどこか勘違い…
ベルンハルト・シュリンクの『週末』を読みました。 新潮クレスト・ブックスを片っ端から読む、みたいなチャレンジをしているわけではないですが、図書館の開架をめぐる中で一つの判断基準にはなる。今回も新潮クレスト・ブックスから。 まず表紙がいい。た…
ミランダ・ジュライさんの『あなたの選んでくれるもの』を読みました。 映画の脚本の執筆に行き詰った著者が、フリーペーパーに売買広告出す人々を訪ね、話を聞き始め、その内容をまとめたフォト・インタビュー集。 プロの写真家の方なのだろうけれど、差し…
スズキナオさんの『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』を読みました。 定期的に書店通いをしていると、気になるものの買っていない本は嫌でも目に入ってきます。この本も私にとってはそういう本でした。たまたま図書館で借りることができたので…
佐久間裕美子さんの『真面目にマリファナの話をしよう』を読みました。 うわああああああい。面白かったです。固定概念がまた一つ崩されたというか、新しい世界が見えてきたというか、いや、疑うことなく考えることなく受け入れることってめちゃめちゃ怖いな…
想田和弘さんの『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』を読みました。 なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書) 作者:想田 和弘 発売日: 2011/07/15 メディア: 新書 これは学生時代に読んだと記憶しているのだけど、改めて読み直したくなった…
柴崎友香さんの『寝ても覚めても』を読みました。 寝ても覚めても 増補新版 (河出文庫) 作者:柴崎友香 発売日: 2018/07/20 メディア: Kindle版 こうあってほしい、といういわば押しつけのような、祈りなのか願いなのかが他人に届くことは無いのだということ…
マーセル・セローさんの『極北』を読みました。 極北 (中公文庫) 作者:マーセル・セロー 発売日: 2020/01/21 メディア: 文庫 Twitterのタイムラインで見つけてからずっと読みたかった作品でした。ようやく読むことができました。いや~良かった。昨今の世界…
島本理生さんの『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』を読みました。 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 作者: 島本理生 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2017/06/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 食べることは、生きること。…
島本理生さんの『君が降る日』を読みました。 読後の余韻がすごい話でした。最後の短編『野ばら』がものすごく刺さったからかもしれないけれど、他に収録されている二編もとても良かった。 詳しく書くとネタバレになってしまうけれど、とある主人公のそばに…
島本理生さんの『夏の裁断』を読みました。 夏の裁断 (文春文庫) 作者: 島本理生 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/07/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 私はほぼ毎週図書館に通うのだけど、手にとってはなんか違うな、とまた本…
最果タヒさんの『もぐ∞』(もぐのむげんだいじょう)を読みました(再読)。 もぐ∞(もぐのむげんだいじょう) 作者: 最果タヒ,error403 出版社/メーカー: 産業編集センター 発売日: 2017/10/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る …