8月2日の書庫

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麻耶雄嵩『貴族探偵』感想

麻耶雄嵩さんの『貴族探偵』を読みました。

貴族探偵 (集英社文庫)

 『貴族探偵』を言えばフジテレビ系で2017年にドラマ化された作品です。

それまでこの作品を知ることはなく、ドラマで原作も知った形になります。

 

ドラマは毎週見ていたわけではなかったものの、嵐の相葉さん演じる「御前様」と彼に仕える人たちが揃って良い俳優さんを揃えていたこともあって楽しんで観ていました。あのキャスト配役は評価されていいと思います。原作と多少キャラクターが違うとはいえ、ドラマはドラマとしてありだと思いました。特に執事の山本さん大好き。

 

原作の感想に入ります。

 

面白かったです。5編の短編で織られた物語。トリックはどれも奇抜だったのと、「何故犯行に至ったのか」ではなく「どうやってアリバイを崩せるか」に焦点を当てているのは「貴族探偵」のお人柄?というか設定から考えても妥当なような気がしました。「貴族探偵」の浮世離れした生き方、思想は、庶民のどろどろとした人間関係やら憎しみの感情にはそぐわない。水と油のような、お互い交わることのない関係です。そういう設定が私は好きなので、『貴族探偵』は好きだなーと思いました。私はどちらかというと「何故犯行に至ったのか」という動機を壮大にする物語の方が好きなのだなと気がついたのも面白かったです。

 

最も好きなのは「トリッチ・トラッチ・ポルカ」ですかね。犯人は軽々とひどいことをやってのける。小間使いの田中さん初登場の物語でもありますし。

 

こうして短編のタイトルをあげてみましたが、5編とも仰々しいというか、タイトルが謎に思えるところがあるのであとでもう一度読み直したいと思います。「トリッチ・トラッチ・ポルカ」ってどんな意味だ…?

 

 

ということで、以上麻耶雄嵩さんの『貴族探偵』の感想でした。