8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

私もコードネームで呼ばれたい/矢月秀作『D1 警視庁暗殺部』感想

矢月秀作さんの『D1 警視庁暗殺部』を読み終わりました。

D1 警視庁暗殺部 (祥伝社文庫)

 「名探偵コナン」に登場するあの組織が正義のために戦っている感じ

です。

舞台は警視庁にごく秘密裏に結成された「暗殺部」という超法規的組織の「D1」と呼ばれる部署。メンバーはそれぞれコードネームで呼ばれ、それぞれのフルネームを知ることすらあまりない。集まったメンバーは有能だけれど元々は警察関係の人間というわけでもなく、大変そうな人生を送ってきたような猛者ばかり。

そんな彼ら彼女らの仕事は、法では裁けない(裁きにくい)悪人を密かに調査し、処刑するにあたるか判断すること、および、必要に応じて処刑すること。「ダークヒーロー」と呼んでいいのでしょうか?強い人たちがその強さと能力を生かして敵をばっさばっさと狩るお話です。

 

非人道的

面白かったと思ったのは、今回標的となる「ある組織」がやっていることが本当にえげつなかったこと。非人道的過ぎました。人の命を何だと思っているんだ、という言葉が空転するくらい。血も涙もなく人を殺していくのです。

「恨みがあって」とか「私利私欲のため」とか「面白いからとにかく」とか。人を殺める理由なんてふざけたことに色々あるわけで、今回の組織の場合も大元は政治家の私利私欲のため、名声のため、地位のため、なんでしょうけれど、その人たちに命令されて人を殺す実行部隊は結構冷めていたんですよね…。とても特徴的な人がいてですね、その人が本当に酷かったのだけれど、別に何を望んでいるわけでもなさそうなんだよな。ただ人を殺している。それが息をするのと同じように自然なこと、という感じで。そのことがとても興味深かったです。

 

今回ターゲットを狩る側のD1メンバーもあまり感情的にならず淡々と仕事をしているように感じたことも印象的でした。彼ら彼女らは何故D1で働いているのでしょうね。

D1も秘密の組織。ミイラ取りがミイラになる、なんてことはないのでしょうか。

気が向けば続編もあるようなので読んでみたいと思います。

 

あ、そうだ。私もコードネームで呼ばれてみたいです。

 

『D1 警視庁暗殺部』を読み終わりました。