8月2日の書庫

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阿部智里『黄金の烏』感想

阿部智里さんの『黄金の烏』を読みました。

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

面白い、としか言えない話でした。手に汗握る展開。深まる謎。見知らぬ《敵》の存在。魅力的な登場人物。ああ。面白い。面白いと思える小説に出会えた歓びを噛みしめながら、ページをめくりました。

シリーズとしては3巻目。私がこのシリーズに出会ってからだと2冊目。2巻で登場した雪哉はそのときは「若殿の近習にはならない!!」と表明し故郷へ帰ったので、あらまあこんな魅力的な登場人物はもう出てこないのね、と思っていたら3巻目でちゃんと帰ってきました。というか巻き込まれました。若殿が雪哉を巻き込んだのです。

前巻で若殿の人となりを知り魅かれながらも自分が信じていることと若殿の生き方が折り合わなかった雪哉ですが、3巻ではもう少し若殿のことを知るようになります。「金烏」である若殿は(このシリーズは「人間」ではなく登場人物は「烏」です)色々と秘密があったようですね。「金烏」として生きねばならない、というのはとても孤独なことなのだなぁと思いました。

今回とても面白かったのは、若殿を取り巻く人物たちです。特に伴侶の浜木綿さま。2巻目でも登場していらしたかしら?多分登場されていると思うのですが、いつのまにか若殿の妃になられている。雪哉をして二人は似たもの同士だ(容姿も考え方も)ということですが、この人のあっけらかんとしながら芯が強く聡明なところは本当にかっこいいなぁと思いました。浜木綿さまのファンクラブに入りたいです。孤独な若殿の支えになれる人なのだろうなと思いました。

 

面白かったです。今回は結構残酷。猿もそうだし烏も残酷なことをするものです。雪哉も覚悟を決めたようですし早く続きが読みたいです。まだ1巻を読んでいないのでそちらも早めに読みたいところです。

 

『黄金の烏』を読み終わりました。