8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

ツーとカー/米澤穂信『本と鍵の季節』感想

 米澤穂信さんの『本と鍵の季節』を読みました。

本と鍵の季節 (単行本)

 

 書店で平積みされたこの本と目が合ってしまって3秒、レジに持っていきお会計をしてしまいました。やられた…(こういうのは本当に珍しいのです)。なんといっても米澤穂信先生の最新刊ですもの。本当は伊坂幸太郎さんか森見登美彦さんの本を買おうと思っていたのだけれどな…断念。

 《古典部シリーズ》《小市民シリーズ》とはまた異なる高校生たちの物語。図書委員である堀川次郎と松倉詩門の日常ミステリーです。

 

 ちょいと苦め。でも読みやすく仰々しくない装丁から中高生向けかな?とも。何度か異なるタイミングで読み返すと感想が変わる作品だと思いました。これは学生の時に読んでみたかったかもしれない。きっと今とは違う感想を抱くはず。

 「みんな何かを隠している」というのが印象的でした。

 

ツーとカー

 何より面白かったのは、堀川と松倉の会話。お互い頭の回転が早いのにそれが同じくらいの回転速度なので息がぴったりの会話なのです。これだけ頭の回転が速いのに同じテンポで会話が成り立つ関係ってあるのかいな…あるんだろうなぁ…すげえな…という感嘆の意。

 そして事件を解決したことによる快感とか全能感みたいなものが全然ないのがすごいなぁと思いました。端的に言えば「どやっ!」みたいなところがないということです。「自分と他者とは」みたいな問答もあまりなくて、本当に高校生の、高校生っぽいけれど高校生じゃない日常ミステリーです(なんだそれは)。この微妙な塩梅を言葉に上手く表すことができません。ん。でも面白かったです。

 

 米澤穂信さんの『本と鍵の季節』を読み終わりました。