《神原恵弥》シリーズ、第2作。先に3作目の『ブラック・ベルベット』を読んでいたので、そちらで登場した人物たちがちらほら見えて「ほほう」となりました。ここで登場してくるのか。
函館
このシリーズは地名をアルファベットにして伏せるのが特徴的なのですが、今回の舞台となったH市は多分函館市でしょう。函館は自分の中で知っているけれど全然知らない都市ですので、この本を読んで俄然行きたくなりました。五稜郭とか、へーという感じ。
印象的だったのは、舞台は冬ということもあり、「寒い」という描写がとても多かったこと。事あるごとに主人公の恵弥が「寒い」「寒い」言っているのが、本当に寒いのだろうなぁと思いました。行ってみたい。
おしゃべり
そして相変わらず神原恵弥という登場人物は喋る喋る。一人で行動することが多かったのに、ずーっと脳内で喋ってましたこの人物。そのお喋りが私は好きで恩田陸作品を読んでいるといっても過言ではないですが、本当に軽快に喋る。そして知識もあり頭の回転が速いのに、もういっぽのところで真相に辿り着けず、しかし、人並み以上には気がついてしまうのでどんどん厄介なことになっていく恵弥。面白いなぁと思いました。
トレジャーハンター
「クレオパトラの夢」とはなんだったのか。それは読んだ人が辿り着いてほしいものですが、神原恵弥はやっぱりトレジャーハンターなんですね。前提として「宝物は本当にあるのかわからない」ということがあると思っていて、まるで霧の中を歩くような恵弥の道中。私だったらもしかしたら存在しないかもしれないものに関してここまでフットワーク軽くいられないなぁと思ったのでした。それはトレジャーハンター気質なんです。あったら儲けもの、無かったらそれはそれで仕方がない。不確実の海にばしゃんと飛び込める。自分の中にはそういう要素があまり無いかなと思ったので、神原恵弥という人物はとても魅力的かつ興味深い人物です。
ということで、楽しく読むことができました。このシリーズ、また新作ですかなぁ、どうでしょうか。