8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

面白きことはよきことなり!/森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』感想

 森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を読みました。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

 まー楽しかった。楽しい。買う(図書館本なので読み終わったら返さないといけないのです)。この本、実は学生時代に何度か挑戦してそのたびに挫折した、思い出深い本なのですが、やっと読むことができました。ここ数年森見作品は結構読んできたし慣れたからかもしれないです。できれば学生時代にちゃんと読めたらよかったですけれど。

 

ぽてぽて

 なんとも奇怪、よくわからない世界が広がっている今作ですけれど、わからなかったらわからなくていいじゃないですか、読みましょう!という面白さがあって、わからないなりに読み通せたのは、ところどころ本当に「すき!」となる宝石のような言葉が見つかるからなのです。

 達磨をお腹に抱え、ぽてぽて歩いていると、木屋町へ通じる路地から樋口さんが顔を出しているのが見えました。(p.43)

 ぽてぽて!超キュート!私もぽてぽて歩きたい。歩けない!この黒髪の、達磨をお腹に抱えたこの美女だからこそできる歩き方!ぽてぽて!このような私的「超キュート!」な言葉が現れては消えていくので読んでいてとても楽しかったです。また読み直したい。

 

面白きことはよきことなり!

 この本の良さは、ご利益は、なんか色々考えることあるけれども、どうしても駄目だったら仕方ない面白く生きる他あるまいな?という、ある種の「開き直り」を誘発させてくれるところです。この本の登場人物たち、真面目に生きているだろうけれども、みんなちょっとおかしなところがあるので、「あ、それでもいいのか!」という気づきを与えてくれる。存分に、夜を、古本市を、学園祭を、冬の京都を、楽しんでいることがわかるので、自分もそんな風に面白く生きていきたいものだなぁと思えました。楽しいですね。

 

 ということで、森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を読み終わりました。