8月2日の書庫

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彩瀬まる『やがて海へと届く』感想

 彩瀬まるさんの『やがて海へと届く』を読みました。

 

やがて海へと届く (講談社文庫)

やがて海へと届く (講談社文庫)

 

 

 初めての作家さん。読んでよかったです。この人の著作、読み漁ろう、と思えました。

 真奈ともう一人の視点が交互に展開されていて、最初は「?」と思ったのだけれど読み進めて何を意味するのかを知ったとき鳥肌が立ちました。印象的な情景がたくさんあって、自分の頭の中でイメージを作りながら読んだ感じ。

 震災で突然親友を失くした真奈が喪失と向き合い回復する物語。そうして言葉にしてしまえば「ああそんな作品なのね」と思われてしまうだろうけれど、日常のちょっとしたところの真奈の感じ方とか国木田さんとのやりとりとか、すみれの恋人とのやりとりとか、ああ綺麗だなぁと思う箇所がたくさんありました。消化するにはまだ時間がかかりそうだけれど、時を経て繰り返し読みたいなと思う小説でした。私は後半のちょっとした小旅行の場面と、もう一人の人物が海岸を歩くところが好きだなと思いました。

 

 彩瀬まるさんの『やがて海へと届く』を読み終わりました。

 

【2019.9.21】追記

 それほど期間を空けず再読。私の場合、一度読んで「欲しい!」「読み直す!」と思う本は買うことにしているので、単行本を購入。愛しの愛しの単行本。文庫本のイメージが強かったけれど、単行本の表紙も印象的だ。どちらも、良い。

 好きだなぁ、と思う。悲しいのだけど。特にすみれパートは本当に悲しかった。靴がキーポイントだったのだなぁ、と読み直して改めて気がつく、というか噛みしめている。