8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

恩田陸『Q&A』感想

 恩田陸さんの『Q&A』を読み終わりました。

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A (幻冬舎文庫)

 

 

 系統としては『ユージニア』や『中庭の出来事』に属するでしょう。面白いのはすべて対話形式で話は進められるということ。すべての会話は「相手」が存在しモノローグは一切ない。会話だけで読者は状況を把握していくユニークな作品です。

 何度も言うようにとにかく独自の論を喋りまくる恩田陸作品の登場人物が私は好きなので、今回も楽しむことができました。が、最近起こった事件と描写が重なるということもあったりして考えることもありました(もちろん現実で起こった事件と物語上の事件はまったく別物だし、異なる点も多いのですけれど)。

 人はこんなにも喋りたがりというか、もちろん喋るのが苦手な人、好きではない人はいらっしゃると思うけれど、人間って喋る相手を選ぶだけで相手がいれば本当によく喋ると思う。で日頃なかなか打ち明けられないことを発散したいという欲望。これは自己承認とか相手より優位に立ちたいとかそういうこともあるけれど、秘めていたものを開放する快感みたいなものがあるのではないか。ということでよく喋ってたねー。

 内容についてはどうでしょう。怖いなぁとは思ったけれど、じゃあどうするよ?ということになると有効な解決策が浮かばない。集団心理というのはあって抗うことはできないのかもしれないけれど、人間が同じ方向を向いているときほど恐ろしいことはないということを肝に銘じて生きていこうと思いました。あと秘密は必ずどこかでこぼれるものだなーと思いました。

 

 恩田陸さんの『Q&A』を読み終わりました。