8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

恩田陸『タマゴマジック』感想

 恩田陸さんの『タマゴマジック』を読みました。

 

タマゴマジック

タマゴマジック

 

 

 図書館の本棚、恩田陸さんのところにいつもあって、私がまだ読んでいない本(恩田陸作品まだまだ未読のものもあるけれど、結構読んできた方だと思う)。手を伸ばしてぱらぱらめくっては棚に戻して、を繰り返したある日の図書館、ようやく私はこの本を借りることができました。躊躇していたのは気分的なものだったのと、外見からこの本はどういうものなのか予想がつかなかったからでもありました。エッセイ?小説?結果的にはどちらも正しかった。小説もありエッセイもある、不思議な一冊です。

 最近『Q&A』も読んだのでビビッときたのですが、

 

dorian91.hateblo.jp

 

噂が噂を呼び本来のキャパを大きく上回る熱狂を身にまとってしまうあの手の付けられなさ、恐怖、みたいなのがじりじりとえがかれていたと思います。恩田作品の怖さって、この「手が付けられない感じ」なんですよね…怖い。イメージは、NHKのドラマ『六番目の小夜子』の文化祭のあのスピード感です。怖。

 怖いのは主に「ブリキの卵」でして、関根親子が登場する「魔術師」や恩田さんのエッセイ「この世は少し不思議」はそれぞれ独立しているのに一つの物語のピースみたいになっている構成が見事だなと思いました。この本は構成が、すごいです。

 タマゴマジック、恩田陸の『ネクロポリス』にあやかって、かきたま汁が飲みたくなってしまいました。卵、タマゴからは何が生まれるのやら。