森博嗣『人形式モナリザ』感想
人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/11/15
- メディア: 文庫
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久々に瀬在丸さんたちの物語、通称「Vシリーズ」を読みたくなってしまった。
森博嗣作品の特徴は色々あるのだけれど、人間の不合理や不安定なところを分けてえがくところが気に入っている。簡単に言ってしまうと感情過多で海に溺れそうなときに読むと心地が良い。逆にとことん人間を読みたい気分の時はあまり手に取らないかもしれない。
瀬在丸さん、危ういなと思う。多面的、異なる人格を内に秘めているのに一人の人間として統合されている、的な記述がどこかにあったような気がするが、さてどこで…(瀬在丸さんは他のシリーズにも顔を見せているお方なので)。
事の真相は指摘されれば「ああそうか」というものだけれど、明かされるまで気がつくことができませんでした。してやられた。人形を通して人間を考える。興味深い話だったと思います。私は事件のトリックが結構好きです。人形だったものが実は人間を操っていた、というところ。
そして例のごとく登場人物たちの会話が面白い。内容と応対のテンポが素晴らしい。それだけで読む価値があるというものです。10作あるうち、2作読破です。残り8作、読んでいきたいと思います。