8月2日の書庫

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恩田陸『三月は深き紅の淵を』感想

 恩田陸さんの『三月は深き紅の淵を』を読みました。

 

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

 

 

 再読。
 好きな作家さんの物語を読めて幸せ、という余韻に浸ることができる。

 第一章から四章で構成されていてそれぞれ「無い本をめぐる話」「本の作者を追う話」「いつか本が書かれる話」「これから書かれようとしている話」と見受けしました。恩田陸作品初心者に勧めたいとも思う作品かもしれません。この四章の中で好きなものあるかしら?一章なら『木曜組曲』をおすすめするわ。二章ならそうね、神原恵弥シリーズなんでどうかしら、このシリーズは「移動」がつきものだわ。三章なら『ユージニア』とか日常の狭い世界の話をおすすめしたい。四章なら『麦の海に沈む果実』は必読ね。そして『黒と茶の幻想も』。って感じ。

 このように恩田陸作品をつなぐ物語かもしれません(直接関連しているのは四章だけですが、雰囲気がつながるから)。旅がしたくなる。風を通したくなる。今回は「出雲夜想曲」のイメージが強く残りました。