米澤穂信『Iの悲劇』感想
米澤穂信さんの『Iの悲劇』を読みました。
以降ネタバレ有りなので注意お願いします。
割り切れない!
これは読む人それぞれで感じ方が変わる話だと思います。読む人がそれぞれどこに住んでいるかで。
「深い沼」があることで物語にいっそうのコクが生まれると思います。自分の公務員という仕事に対する矜持を示したうえで、この結末を経てそれでも万願寺は同じことを弟に言えるのだろうか。それは読者の想像にお任せする。そんな話。
好きなアニメの一つに『ACCA13区監察課』というアニメがあるのだが、万願寺がジーン、西野課長がオウル課長、観山がロッタちゃん(ビジュアルだけ)にぴったりで、途中からそんなイメージを頭に思い浮かべながら読んでしまった。米澤さんは主人公が翻弄される話、その苦々しさを書くのが上手な作家さんだなぁと思う。他人にこんな風に弄ばれるのは私は業腹なのだけどなぁ…。もちろん理由があってのことなのだけど、それでもなんだかなぁ…。
現実と理想のせめぎ合い。Iターン移住者たちはそれぞれやや問題がある人たちだったのかもしれないけれど、少なからず傷を負ったわけで、課長や観山はそれを厭わなかったということで。んんー。こんなことをしなければいけない、って状態が嫌だけど現実なのか…。悶々とするし、消化にはまだ時間がかかりそうです。