8月2日の書庫

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江國香織『金米糖の降るところ』感想

 江國香織さんの『金米糖の降るところ』を読みました。

 

金米糖の降るところ (小学館文庫)

金米糖の降るところ (小学館文庫)

 

  

 これはなかなか人を選ぶというか、反発をくらいそうな内容だな…と思いながら面白く読みました。江國香織作品、2019年はたくさん読んだけれど、多分登場人物の内的世界が豊かなところが好きなのではなかろうか。あとは料理が美味しそうなところ(食をきちんと描く話は好きです)。

 佐和子さんもミカエラさんも奔放の奔放で、人と人が付き合ううえで○○であるべき、と一般的に考えられていることとは少し異なる在り方で人と付き合ってきて、確かに○○であるべきということは絶対的なものではないのでした。でもそれに従っていると打ち破ることができる壁であることをついつい忘れてしまうのだな。この姉妹のようにあるべき!とは私は思わないしエネルギーもないのだけれど、なんか考え方はちょっとわかるような気がする。その辺りはまだまだ考えたいところです。ミカエラの娘アジェレン視点もおもしろかった。とにかく表現が豊かであること。躍動感とか一途なところとか、ほえーーー、とため息つきながら読みました。

 単行本で読んだけれど、栞紐が深緑だったのも好きなポイントです。