8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

アガサ・クリスティー『死との約束』感想

アガサ・クリスティーの『死との約束』を読みました。 先日、三谷幸喜の脚本でドラマ化された作品。面白かったのでぜひ原作を読みたいと思い手に取りました。 こちらも面白かったですね。クリスティーは人間の集団における感情の機微を描くのが本当にうまい…

島本理生『匿名者のためのスピカ』感想

島本理生さんの『匿名者のためのスピカ』を読みました。 私はこの本を読んで「七澤君!!!」となりました。案の定女性読者に人気の登場人物らしい。主人公の笠井君よりよほど「七澤君」だろう。でも七澤君は主人公ではありえない。直感的に、それは間違いが…

千早茜『森の家』感想

千早茜さんの『森の家』を読みました。 小説に登場する人物たちを嫌いになることはあるか。 そう訊かれたら、私は「限りなくゼロに近いNo」と答えると思う。つまり、よほどのことが無い限り、嫌いになることは無い。 ただ、強いネガティブな感情を抱くことは…

恩田陸『灰の劇場』感想

恩田陸さんの『灰の劇場』を読みました。 感想にするのが難しいと感じます。うまく言語化できていないです。二回読んだ今もそれは変わらない。もしかしたら「感想としてまとめない」というのが感想になるのかもしれない。恩田作品だと『中庭の出来事』に近い…

アリ・スミス『ホテルワールド』感想

アリ・スミスの『ホテルワールド』を読みました。 難しかったし、読むのに苦労した、というのが最初の感想。でもそれが悪くない感じ。むしろこの難解さ、複雑さがこの本の魅力だと言ってしまってもいいのではないか。5人の登場人物たちの混沌とした思考。連…

江國香織『号泣する準備はできていた』感想

江國香織さんの『号泣する準備はできていた』を読みました。 1年ぐらい前に実は読んでいたのだけれど、読んだことを忘れたまま読み始め「ああ、なんかこの話知っているぞ」とじわじわと思い出しながら最後まで読み切りました。いいですね。この短編集はあと…

アガサ・クリスティー『スタイルズ荘の怪事件』感想

アガサ・クリスティーの『スタイルズ荘の怪事件』を読みました。 ※ちなみに私は田村隆一訳を読んでおります。 ※そしてネタばれを含んでいるのでご注意願います。 読みました。面白かったな。クリスティー、とりあえず10冊以上は読んだのだからいい加減犯人が…

アガサ・クリスティー『五匹の子豚』感想

アガサ・クリスティーの『五匹の子豚』を読みました。 今から16年前の私って、何歳だ? そう考えたとき、この物語のすごさを再認識する。私は16年前の私と出来事を思い出すことができるかしら。 とても面白かったです。傑作だとかそういう話を聞くのもとても…

角田光代『彼女のこんだて帖』感想

角田光代さんの『彼女のこんだて帖』を読みました。 いいですね。食べることがある。ただそれだけ。上手とか下手とかそんなこと、どうだっていい。人が食べることにハッとしたきらめき抱いた瞬間を捉えた作品だと思います。毎日作る必要なんてない。でも、ず…

江國香織『真昼なのに昏い部屋』感想

江國香織さんの『真昼なのに昏い部屋』を読みました。 再読なので過去の私はなんて言っていたのかしら?と思って過去記事を見てみたのですが、どうやら感想は書いていなかったよう。残念。読みました。 面白いですねえ。短い話でもあるのであっという間に読…

町屋良平『愛が嫌い』感想

町屋良平さんの『愛が嫌い』を読みました。 『しずけさ』『愛が嫌い』『生きるからだ』の三篇からなる作品です。 町屋さんの文体に慣れてきた感覚があります。町屋さんの作品はとても静かで混沌としているような印象です。静かで混沌って矛盾しているようで…

コナン・ドイル『まだらの紐 ドイル傑作集』感想

コナン・ドイルの『まだらの紐 ドイル傑作集』を読みました。 「まだらの紐」含むドイルの短編が収録されています。ホームズが主人公のものもありますが、ホームズが出てこない短編もあってそれが面白いと思いました。特にお気に入りなのは、最後の「ジェレ…

恩田陸『土曜日は灰色の馬』感想

恩田陸さんの『土曜日は灰色の馬』を読みました。 感想がひとつしかない。 「インプットがすげえ…」 ただそればかり。インプット量がすごい方なのだろうなと思います。またそれぞれのインプットに対する解釈も独自のもので、あの恩田作品はこれら数多の解釈…

アガサ・クリスティー『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』感想

アガサ・クリスティーの『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』を読みました。 ああ、文庫本の表紙がいいですね。めちゃめちゃいいです。 ということで読みました。ポアロもミス・マープルも登場しません。退役軍人のボビイとおてんば伯爵令嬢のフランキ…

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』感想

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』を読みました。 明確な自殺願望があったわけではなかった。私は一般的に恵まれていると言える状況だった。なのに生きづらいと思っている自分がいた。運動がそこそこできて成績…

恩田陸『黄昏の百合の骨』感想

恩田陸さんの『黄昏の百合の骨』を読みました。 中学校か、恩田陸作品に出会ったのは。以来ずっと著作を読んできた作家さんで、多分最初は『球形の季節』か『六番目の小夜子』、しかし通称「理瀬シリーズ」に名を連ねるこの本も中学生の時に読んでいるはず。…

町屋良平『ショパンゾンビ・コンテスタント』感想

町屋良平さんの『ショパンゾンビ・コンテスタント』を読みました。 町屋さんは初めましての作家さんです。 不思議な小説でした。この小説を読んで、主人公のように小説を書きたくなりました。深夜のファミレスはどうして魅力的に見えるのでしょう。不思議。 …

若菜晃子『街と山のあいだ』感想

若菜晃子さんの『街と山のあいだ』を読みました。 山をめぐる静かなエッセイ集です。淡々と綴られる山の出来事。そのエピソードの充実さに驚いてしまいました。 山を登ることというのはとても内省的な行為なのだなあと思いました。内省的、でありたい。どこ…

アガサ・クリスティー『ABC殺人事件』感想

アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』を読みました。 殺人というのはつくづく面倒な行いだと思う。 以前森博嗣のVシリーズの一作を読んでいたとき、面白いと思う台詞があった。 Vシリーズは没落した旧家の令嬢・瀬在丸紅子を主人公とするシリーズで、私は…

テッド・チャン『息吹』感想

テッド・チャン『息吹』を読みました。 SFというのはあまり読まない。敬遠している。ただこの本はSFを知らない私でも有名な本だということを知っていたから手に取ってみた。さてどうだったか。 難しかった。SFというのは、哲学的問いを投げかけてくるジャン…

千早茜『透明な夜の香り』感想

千早茜さんの『透明な夜の香り』を読みました。 千早さんの本を昨年らへんから読みだしたと思う。毎回取り上げる設定そのものが興味深いのもさるところながら、食べることを大切にしているところに嬉しさを感じる。私は食べることが好きだから。 この小説は…

アントワーヌ・ローラン『赤いモレスキンの女』

アントワーヌ・ローラン『赤いモレスキンの女』を読みました。 本屋で平積みになっているこの本の前に立ち、少し悩んでぱらぱらとめくっても決められず最後に信じたのは「モレスキン」という言葉でした。モレスキンを使ったことがある縁で。そしてモレスキン…

朝井リョウ『どうしても生きてる』感想

朝井リョウさんの『どうしても生きてる』を読みました。 朝井さんの本はこれまでもたくさん読んできて、学生時代に初めて知った作家さんだけれど、ああ、どんどん読後感が変わってきているなと感じます。私が変わった部分もあるだろうし、朝井さんの取り上げ…

アガサ・クリスティー『第三の女』感想

アガサ・クリスティーの『第三の女』を読みました。 表紙が孔雀なのは笑いました(笑うところではないかもしれない)。孔雀。 「第三の女」というタイトルはどういう意味なのだろうと読む前は思っていたのですが、なるほどです。しかし意味深いというか、誰…

坂口恭平『cook』感想

坂口恭平さんの『cook』を読みました。 料理って実践だよな、と思う。創造的。その通り。料理研究家の土井さんの著作を読んで「なるほど」と思ったのは、人は料理に対して厳しすぎるところがあるということ。もっと軽やかに、作っていいはずだ、料理ってのは…

恩田陸『ネバーランド』感想

恩田陸さんの『ネバーランド』を読みました。 昔読んだはずなのだけれど、結末をおぼえられていない。ということで楽しく読むことができました。「ネバーランド」というタイトルもなるほどね、と。 恩田さんは閉じられた世界を描くのも上手い、というよりも…

江國香織『きらきらひかる』感想(再読)

江國香織さんの『きらきらひかる』を再読しました。 突然ですが「あ~~~~『きらきらひかる』読みて~~~~」となりましたので、今度こそは本屋さんで買ってきました。そういう衝動的な読み方、好きです。 自分が何故「あ~~~(以下略)」となったかは…

岸政彦『図書室』感想

岸政彦さんの『図書室』を読みました。 まずご自身で撮られたという表紙の河川敷の写真(川面は少し波立っている)と直筆のタイトルと著者名がいいんだわ…。『図書室』なのに河川敷?と思ったけれど、なるほど、これは確かにこの表紙でなければならなかった…

アリ・スミス『秋』感想

アリ・スミスの『秋』を読みました。 めっちゃ良かった…。読んでいて楽しかったし沁みました。 EU離脱ブレグジットに揺れるイギリスが舞台です。眠り続ける時間が長くなった101歳の老人とその傍らで本を読む女性エリサベス。彼女の今と過去と老人ダニエルの…

クセニヤ・メルニク『五月の雪』感想

クセニヤ・メルニクの『五月の雪』を読みました。 どうもこんにちは「新潮クレスト・ブックスを読もうキャンペーン」からまた一冊本を読みました。誰か大富豪か私に新潮クレスト・ブックス全冊を本棚付きでプレゼントしてはくれないか。本棚に整然と並べられ…