8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

あ行の作家

江國香織『彼女たちの場合は』感想

江國香織さんの『彼女たちの場合は』を読みました。 面白かったな~。なんだろう、特別何かが起こるわけではないのだけれど、常に何かが起こっている小説だなと思いました。もちろん起こった出来事から驚くべき出来事をピックアップすることはできるのだけれ…

恩田陸『光の帝国 常野物語』感想

恩田陸『光の帝国』を読みました。 おそらく今までの人生で一番著作を読んだ作家を挙げるならそれは恩田陸。今回は常野シリーズから『光の帝国』を読みました。先日『エンド・ゲーム』を読みましたね。この本に収録されている短編「オセロ・ゲーム」はその前…

『アンデルセン童話集 上』感想

ハリー・クラーク絵『アンデルセン童話集 上』(荒俣弘訳)を読みました。 私は『雪の女王』が読みたく、手を取りました。 ほくち箱 しょっぱなから結構ブラック。魔法使いのおばあさんから主人公の兵隊がほくち箱を奪うのだけれど、魔女の首をバスッと切断し…

宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』感想

宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』を読みました。 私はタイトルを誤解した状態でこの本を手に取りました。 人間は「急に具合が悪くなる」ことがあります。それはいわゆる「急変」と呼ばれる、生死にかかわる体調の急激なる悪化ではなく、どちらか…

芥川龍之介『藪の中・将軍』感想

芥川龍之介『藪の中・将軍』を読みました。 芥川龍之介、なんだろう、読みやすい。 特にお気に入りなのは『山鴫』『母』だろうか。 今年SFを読む機会があった。SFはScience Fictionの略称で、科学的な空想に基づいたフィクションなのだけれど、芥川を読むと…

小川糸『卵を買いに』

小川糸『卵を買いに』を読みました。 エッセイを読むとき、私は他人の考えを借りる気持ちで読む。知らない場所、知らない食べ物、知らない景色、考えても見なかったこと、他人の考え。エッセイを読むことで多少なりともインプットできたと思う。 他の人の考…

恩田陸『エンド・ゲーム』感想

恩田陸『エンド・ゲーム』を読みました。 恩田陸作品の中でも「常野シリーズ」と呼ばれている作品群の1つです。読んだことはあるけれど、再読はあまりしてないシリーズ。特に深く考えてはこなかったけれど、どうしてなのだろう。嫌いなわけでも苦手なわけで…

江國香織『犬とハモニカ』感想

江國香織『犬とハモニカ』を読みました。 いいですね、という感じ。昨年から随分と江國香織作品を読んできたなあと感慨深い気持ちになります。収録されている『アレンテージョ』は別のアンソロジーで読んだことがあって懐かしくなりました。車を運転している…

江國香織『なつのひかり』感想

江國香織さんの『なつのひかり』を読みました。 小説を読むのは、何か目的があるわけではない(この場合の「目的」とは何が当たるだろう、語彙力強化とか、知識収集とか、そういうの?)。楽しいからでもない。私にとってはただ習慣なだけであり、プラスして…

恩田陸『灰の劇場』感想

恩田陸さんの『灰の劇場』を読みました。 感想にするのが難しいと感じます。うまく言語化できていないです。二回読んだ今もそれは変わらない。もしかしたら「感想としてまとめない」というのが感想になるのかもしれない。恩田作品だと『中庭の出来事』に近い…

江國香織『号泣する準備はできていた』感想

江國香織さんの『号泣する準備はできていた』を読みました。 1年ぐらい前に実は読んでいたのだけれど、読んだことを忘れたまま読み始め「ああ、なんかこの話知っているぞ」とじわじわと思い出しながら最後まで読み切りました。いいですね。この短編集はあと…

江國香織『真昼なのに昏い部屋』感想

江國香織さんの『真昼なのに昏い部屋』を読みました。 再読なので過去の私はなんて言っていたのかしら?と思って過去記事を見てみたのですが、どうやら感想は書いていなかったよう。残念。読みました。 面白いですねえ。短い話でもあるのであっという間に読…

恩田陸『土曜日は灰色の馬』感想

恩田陸さんの『土曜日は灰色の馬』を読みました。 感想がひとつしかない。 「インプットがすげえ…」 ただそればかり。インプット量がすごい方なのだろうなと思います。またそれぞれのインプットに対する解釈も独自のもので、あの恩田作品はこれら数多の解釈…

アガサ・クリスティー『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』感想

アガサ・クリスティーの『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』を読みました。 ああ、文庫本の表紙がいいですね。めちゃめちゃいいです。 ということで読みました。ポアロもミス・マープルも登場しません。退役軍人のボビイとおてんば伯爵令嬢のフランキ…

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』感想

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』を読みました。 明確な自殺願望があったわけではなかった。私は一般的に恵まれていると言える状況だった。なのに生きづらいと思っている自分がいた。運動がそこそこできて成績…

恩田陸『黄昏の百合の骨』感想

恩田陸さんの『黄昏の百合の骨』を読みました。 中学校か、恩田陸作品に出会ったのは。以来ずっと著作を読んできた作家さんで、多分最初は『球形の季節』か『六番目の小夜子』、しかし通称「理瀬シリーズ」に名を連ねるこの本も中学生の時に読んでいるはず。…

朝井リョウ『どうしても生きてる』感想

朝井リョウさんの『どうしても生きてる』を読みました。 朝井さんの本はこれまでもたくさん読んできて、学生時代に初めて知った作家さんだけれど、ああ、どんどん読後感が変わってきているなと感じます。私が変わった部分もあるだろうし、朝井さんの取り上げ…

恩田陸『ネバーランド』感想

恩田陸さんの『ネバーランド』を読みました。 昔読んだはずなのだけれど、結末をおぼえられていない。ということで楽しく読むことができました。「ネバーランド」というタイトルもなるほどね、と。 恩田さんは閉じられた世界を描くのも上手い、というよりも…

江國香織『きらきらひかる』感想(再読)

江國香織さんの『きらきらひかる』を再読しました。 突然ですが「あ~~~~『きらきらひかる』読みて~~~~」となりましたので、今度こそは本屋さんで買ってきました。そういう衝動的な読み方、好きです。 自分が何故「あ~~~(以下略)」となったかは…

恩田陸『隅の風景』感想

恩田陸さんの『隅の風景』を読みました。 「まだ読んだことない恩田作品あるってよ」ということで、恩田さんの紀行エッセイを読みました。 こうして読んでいると、恩田さんというのはインプットの量がすさまじい人なんだなぁ…と驚くばかりです。また何度も言…

大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』感想

大前粟生さんの『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を読みました。 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 作者:大前粟生 発売日: 2020/05/01 メディア: Kindle版 「ぬいぐるみとしゃべる人」は「 」。 「 」に入る言葉は、「繊細」でもなければ「傷つきやすい…

江國香織『つめたいよるに』感想

江國香織さんの『つめたいよるに』を読みました。 どの話も短く不思議な読後感で面白かった。目次をノートに写して(読書ノートをつけたりつけなかったりしている)書いた目次のところに特に好きな短編ならマルをつけていく。『デューク』『ラプンチェルたち…

江國香織『とるにたらないものもの』感想

江國香織さんの『とるにたらないものもの』を読みました。 んんん~~好き。江國作品を読む2020であるけれど、この本は漏れていてたまたまSNSでその存在を知った。知ってまもなく、とある街を訪ねることがあって、そこのBOOKOFFで110円で売られていて「嘘だ…

恩田陸『きのうの世界』感想

恩田陸さんの『きのうの世界』を読みました。 こちら再読で、てっきりこちらで感想書いていると思っていたら、2017年の読了。このブログを始める前に読んでいたので感想は書かれていなかったですね。最近、自分が読んだ本を記録が残っている限り全部Excelに…

葦原大介『ワールドトリガー 1』感想

葦原大介さんの『ワールドトリガー 1』を読みました。 私、ワートリの民になります! ということで、ワールドトリガーをちまちま読み進めようと思っています(飽きるまで)(早々に飽きるかもしれない)。あとから色々なことを知った私がぐふぐふ笑えるよう…

ミッチ・アルボム『モリー先生との火曜日』感想

ミッチ・アルボム『モリー先生との火曜日』を読みました。 普及版 モリー先生との火曜日 作者:ミッチ・アルボム 発売日: 2004/11/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) 小説を電子書籍で読むことは無いのですが、漫画は読みます。Kindleのおすすめで何故か表…

江國香織『いくつもの週末』感想

江國香織さんの『いくつもの週末』を読みました。 いくつもの週末 (集英社文庫) 作者:江國 香織 発売日: 2001/05/18 メディア: 文庫 読みながら何もわかっていない私はこれを小説だと思っていたのですが、実はエッセイでした。江國さんの結婚生活をめぐるエ…

江國香織『いつか記憶からこぼれおちるとしても』

江國香織さんの『いつか記憶からこぼれおちるとしても』を読みました。 いつか記憶からこぼれおちるとしても (朝日文庫) 作者:江國 香織 発売日: 2005/11/01 メディア: 文庫 ん~~~~。いい。タイトルが秀逸すぎる。江國作品のタイトルが私は好きです。「…

一緒に耳を澄ます同志/江國香織『雨はコーラがのめない』

江國香織さんの『雨はコーラがのめない』を読みました。 雨はコーラがのめない (新潮文庫) 作者:香織, 江國 発売日: 2007/06/28 メディア: 文庫 アメリカンコッカスパニエルの雨と、その雨と一緒に聴く音楽をめぐる文章です。めちゃめちゃいい。痺れる。 埃…

これは悲劇であり呪いなのだろうか/恩田陸『ライオンハート』

恩田陸さんの『ライオンハート』を読みました。 ライオンハート (新潮文庫) 作者:陸, 恩田 発売日: 2004/01/28 メディア: 文庫 久々の未読の恩田陸作品…。こう読んでいると安心する文体…(それが自分にとっては良いか悪いかは別として)。 面白かったなぁ…。…