8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

筒井康隆『モナドの領域』感想

筒井康隆さんの『モナドの領域』を読みました。

モナドの領域

 この方と言えば『時をかける少女』で有名な作家さんらしいですが(多分他にも有名な著作はあると思うけれど私が知らない)『時をかける少女』は私は未読なんですよね...なんで読んでないんでしょうね...タイミングだろうな。ということで、この『モナドの領域』が「初めまして」の物語でした。

 

私は読む本を決める際は、本棚から気になった本を引き抜き、ぱらぱらとめくり、どんな文体なのかどういう物語なのかを少し確認してから、それでも気になった本を読むようにしています。この本は、手にとって1ページ目をめくったら警部さんが出てきたので「あ、刑事ものなのかしら」と思い、その本を読むことにしました。

が、結果的に言うと「刑事もの」ではありません。筒井さんの著作を知っていらっしゃる人は手にとった段階でわかったかと思うのですが、どちらかというとSFものでしたね。不思議な物語でした。

 

本の中の物語である、ということを感じさせる表現がところどころ出てきて面白かったです。こういうのを「メタフィクション」というのだっけ?思わずくすりと笑ってしまった。

 

内容としては、GODが地上に降り立ったとしたら面倒だなーと率直に思いました。「神」は人間が作り出した存在。GODはもはや人間の想像を超えた存在なわけで、世界であり真理であり、宇宙であると。「世界」「真理」「宇宙」も所詮人間が作り出したものですから(言葉として)GODはそれ以上の存在なのでしょう。こんな存在がある目的を持ち人間世界に降り立ち、一騒動あり、去っていく、というお話でした。

でも、面倒だなと思いました。人間は人間がそのちっぽけで愚かな頭脳を回転させ、どうにか秩序を保とうと社会を作り上げてきたわけです。その秩序に混乱を生み出すようなことをしないでよ、と。そこだけ私はなんだが気に食わなかったです。それを「神さま」のような存在に言っても仕方のないことでしょうけれど。

 

しかし、小説というのは人の想像力を挑戦する場所の1つでもあると思うので、本を読んでいると色々な考えがあって面白いなーと思います。私が思いもつかないような世界が一冊の本の中で広がっている。

 

面白いですね。

 

 

ということで、筒井康隆さんの『モナドの領域』を読み終わりました。