8月2日の書庫

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たった一言/綾辻行人『十角館の殺人<新装改訂版>』感想

綾辻行人さんの『十角館の館<新装改訂版>』を読み終わりました。

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

ネタバレはしないですが、本当に何も知らないままで読みたい人は回れ右をお願いします。

 

 

 

 

 

殺人事件が起きます。10つの角を持つ不思議な館で起きます。以上。

 

では味気ないので印象に残ったことだけ書いて感想を終わりにします。

誰が犯人なのか。あるいは犯人はいないのか。どういうトリックで人が死んだのか。不可解に思えるいくつかの現象の真相は何なのか。考えながら読み進めましたが、結果的に私は何もわからず解決編となってしまいました。

たった一言で世界が一転します。これは間違いなく言い切れます。だから未読の人はそこまで読んでくださいね。私はこの一文に出会って本当に驚いたしやられたと思ったし「え、ちょっと待って!!!」と狼狽しました。こういうのがミステリーの醍醐味の1つなのかもしれませんね。

孤島。誰も訪れない、連絡手段もない孤島で繰り広げられる現代のミステリー。確かに法医学や鑑識技術がある程度発達したとされる現代では、ホームズのような体系的な知識を持ち、それらをつなぎ合わせてアッと謎解きをする探偵は生まれないのかもしれません。そういう話を冒頭で登場人物たちもしているのですが、私は「どのように」や「どうして」という謎解きの魅力を楽しむ以前に、現代に生きる若者たち(登場人物たちは大学生)の秩序がどんどん壊れていく様に興味を覚えました。こういう極論状態は、現代ではなかなか味わうことができない。連絡がつながらない、助けも来ない、脱出できない、人が殺される。そんな状況って、無いですよね。この登場人物たちの中に自分がいたとしたらどうなるか。そういうことも想像しながら読むことができました。

 

面白かったです。

綾辻行人さんの『十角館の殺人<新装改訂版>』を読み終わりました。