8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

食べることを楽しもう/近藤史恵『マカロンはマカロン』

 近藤史恵さんの『マカロンはマカロン』を読みました。

マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)

  私の大好きな「ビストロ・パ・マル」シリーズ!!!また読めるなんて嬉しいです。

 相変わらずコンパクトに、しかし押さえるところはきちんと押さえた美食日常ミステリーです。料理の知識がないので、ネタもほぼわからなくて三舟シェフの種明かしも「おおう!」と驚けるのが嬉しいこのシリーズ。そして料理が本当に美味しそうです。分からない料理ばかりなので、少しでもイメージを持てたら、と見慣れないカタカナが登場した際はネットで検索しながら読みました。少しはフランス料理の名前も覚えられたか。

 「ビストロ・パ・マル」は下町の小さなフランスレストランということで、気安く訪れることができるお店のようですが、ファミレスのようにとてもカジュアルというわけでもありません。「なんとなく食べる」「とりあえず空腹を満たすために食べる」「安いものでいいから食べる」ではなく「安いけれどきちんとした料理を大事に食べたい」というお客さんが集まるお店なのではないかなと思います。だからこそその人の料理に対する反応や所作に滲み出てしまい、それが謎のきっかけになったりするのです。

 私は食べることが好きなほうだけれど、いいかげんに済まそうと思えばいくらでも食べることを蔑ろにできると思います。好きですけれど、例えば菓子パン三昧、とか。もちろんそこにも「物語」が「感情」が「思い出」が入る余地はあるのでしょうけれど、どうせなら私はちゃんと手間暇かけて料理を楽しみたい。人間が何故か発達させてしまった「食べることを楽しむ」という能力を使わないでどうしますか…と思うから。

 ということで、「ビストロ・パ・マル」に足を運ぶお客さんのエピソードを読みながら、もっと食べることを楽しむ、食べることそのものにもっと集中するようにしたいなぁと思いました。何もフランス料理屋さんに行ってみる、とかじゃなくて、食べたいなぁと思うものを食べるようにする、自分で料理を作ってみる、ながら作業で食べることを減らす、という自分にできることから。

 このシリーズの新しい話がまた読みたいなと思いました。

 

 近藤史恵さんの『マカロンはマカロン』を読み終えました。