8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

伊坂幸太郎『残り全部バケーション』感想

 伊坂幸太郎さんの『残り全部バケーション』を読みました。

残り全部バケーション (集英社文庫)

読了後の私

「良かったぁ〜〜〜〜〜〜!!! 昨年から伊坂作品を読んできたけど今の所一番好きかもしれない。」

 

 ということで、良かったです。

 そういえば、私は伊坂作品を読み始めたのはここ1,2年のことでした。それ以前から「伊坂幸太郎」という作家名はよく目にしていたけれど読む機会が無かったのです。『残り全部バケーション』も知っていた。知っていて題名だけである程度のイメージを膨らますことができちゃって、読むの、いいや、と思ってしまった記憶があります。嫌ってはないですけれど「読まず嫌い」に近い。そんな威力のある題名だなぁと思うのですが、私がイメージしていた(この作品にはきっと会社でゴリゴリ働くサラリーマンが出てくるのだ!)のとはかなり異なり、伊坂作品に時々登場する「線から外れた人たち」のちょっとした出来事が集まった短編集でした。サラリーマンじゃなくて闇の世界の便利屋?

 

 感想は「おかだぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」なのだけど、読んだ人ならわかってもらえる感想ではないかと思います。私が好きな言葉だけ残して感想を終わりにします。

 

 母がふと、「さっき、岡田さんが言っていた言葉、よかったよね」と洩らした。

 「どの言葉?」

 「レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進む、って」

 わたしは、彼女の横顔に目をやる。

 「なんか、気が楽にならない?気負わなくたって、自然と前には進んでいくんだよ」

 そうかなあ、とわたしは答えながらも、自分の身体についてるはずの、見えないレバーをドライブに入れてみる。

  

 とりあえず生きてれば、どこかにたどり着くのではないですか?

 

 伊坂幸太郎さんの『残り全部バケーション』を読み終わりました。