8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

千葉雅也『アメリカ紀行』感想

 千葉雅也さんの『アメリカ紀行』を読みました。

 

アメリカ紀行

アメリカ紀行

 

 

 買う本はもっぱら一度読んで気に入った本だけれど、全く読んだことがない本を無性に買いたくなるときもある。ということでこちらを購入。新刊を買うという行為は「これが私のだ!」ということを味わえるのも楽しみの一つではある。栞紐がついていないタイプ。本文とその余白のバランスが絶妙。あまりぎゅぎゅっと文字が詰まっている印象ではない。それがこの本にとって良いことなのがわかる(文量が多くないってのもあるのだけれど、内容とそれを読んだ上で沸き立つ思考を受け入れる余地があるなぁ、という余白)。

 知ることは世界の解像度を上げることだと思っている。知っていることが多ければ多いほど、世界をきめ細かく見ることができる。同じリンゴを見ているとして、私はできれば色んなリンゴの情報を見たいなぁと思うから、勉強したいと思っている(まあ勉強はできていないのだけど)。この本のように「知っている人」の文章を読むと、勉強したいなぁと思う。筆者は研究者である。同じものを見たとして、私と筆者では感じることがまるで違うのだろうなぁ、となんだか悔しい。そんな本でした。

 アメリカでの日常と研究の萌芽というのか、これから何かに発展しそうな思考の種?みたいなものが入り混じっている文章が好きだと思いました。こういう文章が書きたい。