8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

新井見枝香『本屋の新井』感想

 新井見枝香さんの『本屋の新井』を読みました。

 

本屋の新井

本屋の新井

 

 


 書店員さんって「本屋大賞」なんてあるのだもの、本が大好きで本屋さんが大好きで電子書籍には危機感を持っていて、というか出版業界に危機感を持っていて、「何かの」(何かの)最後の砦を守るのは私たち!みたいな強い意志がある人たちがたくさんなんでしょ、となんとなく思っていたのかもしれません。見事な偏見ですね。確かに新井さんは本が好きなのだろうなぁと思うのですが、別に「好き」って肩に力入れてむんむんで宣言することじゃないのかもね、なんて思わせてくれる、ゆるっとした書店員さんエッセイでした。読みやすい…と思ったら
 

私は、書店や書店員が特別なものだと思わせるような本を出すのが嫌だった。(p.180)

 
 とありましたので、対私においては大勝利だったと思います。

 話一つ一つ流れるようにスムーズに読んでしまったので覚えていることだけ。新井さんの手書きだと思うのですが、エッセイ一つひとつの題名がなんとも味わい深く好きな字だったのが印象的でした。この字でPOPとか書かれていらっしゃるのだろうか、想像できる…クレヨンで書いているのかなやさしい書き味…。

 書店が好きですけれど、そのサービスが当たり前だとは思わずに私も誰もかれもが心地よく利用できる空間であってほしいものです。想像力、持ちます。