8月2日の書庫

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江國香織『やわらかなレタス』感想

 江國香織さんの『やわらかなレタス』を読みました。

やわらかなレタス (文春文庫)

 

 江國さんのエッセイが好きだ。日常は言葉にできる、なんてことを読み終わった後のぼんやりとした頭で考えていた。

 気を抜けば日常=退屈でありふれたもの、と捉えることはできて、しかしその日常というのは有限なものである。限りがあるのであれば出来るだけ楽しみたい、味わいたいってのが私の中の核みたいなもので、エッセイというのは日常にパッと光を当てるように思っているから、私の考えに一致する存在。エッセイが好きです。

 こんな文章を書けない、と作家さんの文章を読むたびに思う。綺麗な文章。文体だけでなく個別のエピソードも作家さんそれぞれの切り口があって読んでいて面白い。江國香織さんは食と酒と犬と旅と物語。このエッセイ集はある程度テーマを絞っていると思われ、背の高さが揃っている。こんな風にエッセイを書いてみたい、と思ってしまった。私は鱈の話が好きです。