8月2日の書庫

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江國香織『スイートリトルライズ』感想

 江國香織さんの『スイートリトルライズ』を読みました。

 

スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

 

 

 文庫本のリンクを貼ってますが、この本は圧倒的単行本のカバーが可愛い。もう買う(図書館本だったもので手元に置くことはできていないのです)。瑠璃子さんがテディベア作家なのでベアがどかーんと載ってます。光の当たり方が作用して、背表紙から受ける印象と正面から見る印象がガラッと変わるのが面白いなと思いました。

 「結婚とは何か」をまざまざとと突き付けてくる作品です。そして「不倫とは何か」ということも同様に考えさせられます。私自身かなり恋愛には疎くて、果たして自分が燃えるような恋に陥ることになったとき(そもそもそういう恋愛ができるかどうかひどく怪しい)どうなるのだろう、何を感じるのだろう、ということを考えながら読みました。でも、なんだろう、江國作品って不倫する話が多いけれどパートナーへの敬愛は残っている感じがするんですよね。そこが面白くて、相手に幻滅したからそこから逃げる、背けるような恋愛ってしていないのではないか(その多くは「彼女」である、彼ではない)だったらいいのかなぁ…むむむ。不倫も何も私じゃない誰かがやっていることなら、もうそれは当人たちの問題で当人たちにしかわからないことがあって、そこに賛否を持ち出すのは意味がないなと思うのでどうでもいいですが、瑠璃子にとってはもっとも適したことをしてきたんだと思います。それができる強さと人生に対する責任を、江國作品の登場人物からは感じています。だから、読んでいても特に気分を害することはありませんね。みんなとても正直だ。

 この作品は目次も見事ってことも言っておきます。最初に「ソラニン」で始まり、「トリカブト」で終わるなんて最高じゃないですか。