今の今まで読んだことがなかったのですが、そのタイトルが知られ渡っている本なので読んでみることにしました。まえがきにあるように、大人向けにつくられているのだとしたら、もう子どもではない私だって読んでいいはず(というか別に児童文学だろうが読みたければいつだって読んでいいはずだ)。
どうなんでしょう…。難しい、というか、掴みづらいというか。「こんなものか」という感想を持つことになんだかドキドキしてしまう(名作というのは往々にしてその評判だけが出回ってしまいがち)。
私は星の王子さまの星に育っていたバラの花が妙に愛くるしいところと、点燈夫さんのエピソードが気になります。
でも、ぼくにこっけいに見えないひとといったら、あのひときりだ。それも、あのひとが、じぶんのことでなく、ほかのことを考えているからだろう。(サン=テグジュペリ『星の王子さま』岩波書店, 1953年, p.82)
この本が書かれた時代は意識しなければいけないけれど、今読む人がどういう時代を生きているかも大切なことで、各々がこの本を読んで何かを感じればそれでいいのだと思います。
点燈夫さんの星は、命令だからといって自分のしたいこと(「眠ること」)ができなかったり、星がぐるぐる回るので休む暇がない実情に対して命令が現実的じゃないところなどは考えたいところですが、引用にもある通り、王子さま談として点燈夫さんが自己に無頓着(無頓着すぎるか)なところに魅かれる、という部分は気に入っています。あんまり「自分が自分が」と主張するのは相手としてもうんざりするだろうし、何より本人も結構しんどいものですから。内と外の眼差しの比率の問題だと思います。
一度読んだだけではわからない気がするので、気が向いたときにまた読み直したいと思います。