8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

あなたはひた走る/柴崎友香『寝ても覚めても』

 柴崎友香さんの『寝ても覚めても』を読みました。

 

寝ても覚めても 増補新版 (河出文庫)

寝ても覚めても 増補新版 (河出文庫)

 

 

 こうあってほしい、といういわば押しつけのような、祈りなのか願いなのかが他人に届くことは無いのだということを、私は小説を読んでまず知った。

 もっとちゃんとしてほしい

 自分を大切にしてほしい

 こんなことをするなんて不道徳

 あなたの考えていることはよくわからない

 思ったところで、彼ら彼女らは自分の生をひた走り、私はそれが正しいことなのだといつからか思うようになった。他人の人生の主導権は、その人自身にあるべきだ。

 

 朝子よ、何故なの。あなたは何故そうなの?

 そんな思いをぐっと押し殺して一旦は読む。とにかく読む。

 読みながら「あ、この瞬間すごく好きだな」と思うところがでてくる。カメラで写真を撮る朝子さん、なんかいいなと思って、私も写真を撮りたくなって、コンデジ買っちゃったよ、どうしてくれるんだ。ありがとう。

 朝子さんの中で何か一区切りついたのであれば良かったと思う。瞬間を直感に従って進む朝子さんの姿、何故?どうしてそっちに行くの?と思いながらも、爽快だった。面白かった。