江國香織『いつか記憶からこぼれおちるとしても』
江國香織さんの『いつか記憶からこぼれおちるとしても』を読みました。
ん~~~~。いい。タイトルが秀逸すぎる。江國作品のタイトルが私は好きです。「いつか記憶からこぼれおちるとしても」。この後につづく言葉は何だろうか。読者各々考える余地が与えられています。
共通点は同じ女子高の同じクラスの生徒。それぞれの目線で綴られた短編集です。
こういう小説の面白さは、やはり自分から見た自分像と、他者から見た「私」像のズレにあると思います。大きく外れることはないけれど、絶対にぴったりとは重ならない両者。ズレたものに対して考えたとき、視点の違い、知りえたことの違いが存在していてそれに安心と苛立ちを覚えます。つまり人間ってのは一人一人違うのだということ。