8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

千葉雅也『メイキング・オブ・勉強の哲学』感想

 千葉雅也さんの『メイキング・オブ・勉強の哲学』を読みました。

メイキング・オブ・勉強の哲学

メイキング・オブ・勉強の哲学

 

  『勉強の哲学』がどのように作られたのか、語る本書、『勉強の哲学』の実践例と言うこともできそうです。

 私はこの本をいつどこで買ったのか覚えていて、買った帰り道で一気に読んでから実に1年ぶりぐらいに読み直しました。買った当時のモチベーションなどを思い出します。「本を買う」って書かれている内容、コンテンツを楽しむだけじゃないところが好きです。

 有限性の設定、自分の享楽も有限性の一つであり、そこから自分なりのメタゲームを作っていくこと。紙、デジタルノート、アウトライナー(ツール)を駆使すること。ひとつの細胞、宇宙と捉えることができる情報カードの可能性。このあたりが自分の中でワクワクした点でした。既に自分の作業の中に組み入れています。

 そして作者の千葉先生のノートを見ることができるのも興味深かったです。特定の職業や立場の人でない限り、自分以外の人の手書きってなかなか見る機会が無いもので。

 これは手書きデジタルに問わずですが、自分以外の他者に見せるかどうかで書かれる内容も表現も変わる、ということを常日頃実感していて、「このテキストは誰に見られうるのか」ということも「有限性」というか枠のひとつになるような気がします。その枠があるからこそ押し上げられる表現と、排除されてしまう表現がある。このテキストも然り。なので、同じようなことを書くにしても、対自分、対他者と相手を複数想定して書くのが結構楽しいです。その点、私は本の感想を書く際に、まず紙のノートに好き勝手にまとめて、その後にブログに書く、というように段階を分けているのですが、これも媒体と相手を別にしているのだなー、多分この制度はそれ以前から行っていたことではあるけど、去年ちらっと『メイキング・オブ・勉強の哲学』を読んだ影響もありそう…。面倒ですけど楽しいです。

 ということで『勉強の哲学』とこの本はおすすめ。色々な人に読んでほしいし、読んだ感想を語りあいたいものです。