8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

吉田篤弘『月とコーヒー』感想

 吉田篤弘さんの『月とコーヒー』を読みました。

月とコーヒー (文芸書)

 

 めっちゃ面白かったです。

 この「面白かったです」ってすごく難しい言葉で、他の人が使っている「めっちゃ面白い」と温度が違うかもしれないです…。吉田さんのお話はすごく優しい話が多いと思います。展開的に面白いとか、ハラハラドキドキするとか、様々な視点や状況が交錯して混沌を極めて…とかそういう面白さじゃないんです。この本そのものが面白い、とてつもなく面白い、私はそう言いたいのです。

 装丁が素敵です。クラフト・エヴィング商會さんのデザイン。本のサイズも、両手より少し大きいくらい。文庫本よりもちょっとだけ大きい?そしてとても分厚いです。あとがきにもあるように、寝る前に一篇だけ読まれるような、そういう本です。所有する欲を満たしてくれる本。絵は挿し込まれていないけれど、どこか「絵本」のような、そんな本。

 そして毎回「食べ物」が登場するのも私好みの本でした。食べ物が好きなんですよねどうしても。映画でもアニメでも漫画でも多分、何かを食べるシーンや料理するシーン、食材を買うシーンは好きなのだと思います。それはきっと誰にとっても身近で、その人らしさを色濃く表れる部分だから。

 また先ほどもちらっと出た「あとがき」が素晴らしいです。あとがきが素晴らしいと思ったのは、今年だと江國香織さんのこの本以来です。

dorian91.hateblo.jp

 私も月とコーヒーが好き。この本は図書館から借りて読んだ本ですが、いつかきっと手に入れなければなりません。