8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

ガブリエル・ガルシア=マルケス『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』

 ガブリエル・ガルシア=マルケスの『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』を読みました。

ガルシア=マルケス「東欧」を行く

 『百年の孤独』という本が、家の近くの本屋にいつも一冊置いてあるのだが(今日訪れたら無くなっていたので、誰かに買われたのか戻されてしまったのか)今年読んだ多和田葉子さんの『百年の散歩』と混同していて、ああ、これは『百年の孤独』だわ、散歩じゃないのよ、というのを毎回その本屋に行くたびに繰り返していた。ちなみに私はまだ『百年の孤独』を読んでいない。読んでいたら混同するはずがない。

 その『百年の孤独』の作者だとはつゆ知らず、私はこの本を読んでいました。文字通り、ガルシア・マルケスさんが30代の前半に東欧をめぐった際のルポルタージュです。

 己の知識不足がもどかしかったです。世界史をもう一度勉強し直さなければなりません。資本主義とは。社会主義とは。マルクスとは。レーニンとは。スターリンとは。何故ベルリンの壁は築かれたのか。そしていつどのように壊されたのか。おぼろげながらの知識ではこの本を存分に味わって読むことはできませんでした。言うなれば、食べるための道具の使い方がおぼつかないようなもの。ああ、己の学識のなさ、これから補っていかねばなりません。

 わからないなりになんとか読み通しましたが、印象的だったのは、情報が統制された状態で生きる人々のこと。マルケスさんが訪れた国は社会主義体制の下、色々と情報が規制されています。マルケスさんが知っていることと、その国の人が知っていることに大幅にズレがある。その状態、果たして嘲笑うことができるのだろうか?ということです。

 井の中の蛙という言葉があるように、閉じられた世界で生きていると、その世界が閉じられていることすら認識できないということがあります。私たちはどうして自分たちが蛙でないと言えるのでしょう。私は蛙なのです。同じ蛙ならば、せめて自分がいる場所は井戸の中であること、その外には広大な世界が広がっているということ、井戸は出ていかねばならないことを知っている蛙でありたいです。そのためにもまずは動くことと、勉強ですね。この点はマルケスさんの行動も印象的です。その国の素の部分を見ようと試みること。国々をめぐること。本物を見ること。私もそうありたいです。