8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

クセニヤ・メルニク『五月の雪』感想

 クセニヤ・メルニクの『五月の雪』を読みました。

五月の雪 (新潮クレスト・ブックス)

 

 どうもこんにちは「新潮クレスト・ブックスを読もうキャンペーン」からまた一冊本を読みました。誰か大富豪か私に新潮クレスト・ブックス全冊を本棚付きでプレゼントしてはくれないか。本棚に整然と並べられた統一がとれた新潮クレスト・ブックスの背表紙たち。かぁーーーーーーー大金持ちになりたい。嘘です。でも憧れます。

 この本はまず表紙がとってもキュート。ビビットな濃いピンクが効いています。手に取ったとき思わず「可愛い…」と呟いてしまいました。

 内容も面白かった。特に最初の「イタリアの恋愛、バナナの行列」が好きです。どうやったらこんな話が書けるのかなぁ…と唸ってしまいます。

 

 今年はやたらと海外文学を手にしていますが、その理由として、一つは国内作家の本に若干飽きてきたというところ(飽きないほどまだまだ知らない読んだことのない作家さんがいることは重々承知です)。「新鮮に驚きたい」というのが海外文学に手を伸ばす一つのモチベーションになっているようです。なんというか、素直に人間に驚けるんですよね…。あ、人ってこんなにユニークなんだ、ということを思い知るのが海外文学。日本の小説はどうしても知っていることが多くて共有できるものもたくさんある。それら知っていることを色々と混ぜ込みながら読む楽しさがあるけれど、海外文学は土地とか時代とか文化とか知らないことだらけだし、知らないからこそ人間が浮き彫りになる感じ。国内作品は、人間が色々なものを纏っちゃう感じ(人っていうものですよ多分)。説明できているのかなぁ…。とにかく私はそういう理由から、今年は楽しく海外作品を読んでおります。

 メルニク作品は、人間がとてもユーモラスでした。情景とか物の細部の書き込みもすごかったけれど、人がどなたもユーモラス。不安定で生き生きとしていて生半可な気持ちで臨むとばこーーーーんと殴られる。ついていけない…と思いながら読み通すことができましたが、今の私は振り落とされないようにするのが精いっぱいなので、鍛え直します。楽しかったでです。