8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

江國香織『犬とハモニカ』感想

 江國香織『犬とハモニカ』を読みました。

犬とハモニカ (新潮文庫)

 いいですね、という感じ。昨年から随分と江國香織作品を読んできたなあと感慨深い気持ちになります。収録されている『アレンテージョ』は別のアンソロジーで読んだことがあって懐かしくなりました。車を運転しているパートナーからお弁当を差し出されるシーンが印象的だった。ゆで卵が登場するのです。ゆで卵、大好き!

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 なかでも好きなのは『ピクニック』という短編でした。カップルの微笑ましいピクニックのひとときなのだけれど、どこか普通じゃない不安定さにドキドキします。ピクニックも好き。

 江國香織はもはや物語の行く末が気にならない作家で、文字を目で追う今この瞬間が心地よすぎるのです。お話の先が気にならないなんて幸せです。