8月2日の書庫

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『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』感想

 アマル・エル=モフタール、マックス・グラッドストーンの『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』を読みました。

こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 いや~~~~~。面白かった。とても刺激的でした。

 タイムスリップしあらゆる領域の出来事を自分たちの陣営にとって都合がいいように改変していく〈エージェンシー〉と〈ガーデン〉。〈エージェンシー〉の凄腕工作員レッドが〈ガーデン〉のブルーからの挑戦的な手紙を受け取ったところから物語は始まります。

 私は最初、レッドが男性でブルーが女性だと思っていたのだけれど、両方とも女性らしい。ただ、この物語においてジェンダーというのは意識されているのか微妙なところ(そもそも「人間とは?」という問いになるので)です。私は、孤独なレッドとブルーが手紙を交換し合う過程で深い部分で互いに共感し、愛するほどまでになる物語に好感を抱きました。これは、折に触れて何回も読みたいです。タイトルも最後まで読むと「なるほど」となります。一体誰の言葉なのか、誰に向けての言葉なのか、その意味を知るとき興奮が押し寄せてきます。