8月2日の書庫

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C・S・ルイス『魔術師のおい ナルニア国物語 1』感想

 C・S・ルイスの『魔術師のおい ナルニア国物語 1』を読みました。

ナルニア国物語1 魔術師のおい (光文社古典新訳文庫)

 

 ナルニア国物語は『ライオンと魔女』で挫折している人間です。名作ファンタジーであるのは聞き及んでいるのに、なんで面白く感じられないのだろう(それは私の欠陥なのだろうか)と思うぐらい、ピンと来ていなかったのだけれど、『ライオンと魔女』を読んでからずいぶん経つし挑戦してもよかろうと、手に取りました。

 ちなみに『ナルニア国物語』シリーズは、刊行された順番と作中の時系列が異なっていて、『ライオンと魔女』は最初に刊行されたもの、『魔術師のおい』は作中の時系列の最初にあたるもの、です。じゃあ何を最初に読めばいいの? ということなのですが、個人的には最初に出会ったもの、手に取ったものを読めばいいと思います。そんな丁寧に本を読む必要ってあります?という話。『ハリーポッター』シリーズは三作目の『アズカバンの囚人』から読みましたし…。

 ただ一応補足しておくと、光文社から出版されている今回私が手に取った『ナルニア国物語』シリーズは時系列順となっています。『魔術師のおい』のあとがきにそのあたりの経緯が記載されていました。私も久しぶりの『ナルニア国物語』シリーズは光文社のものをたまたま手に取ったので、この流れで続編を読んでいきたいと思います(気力があれば)。

 

 『魔術師のおい』についてですが、いや~面白かったですね。本当に面白かった。

 お話としては短く、さくさくと読めると思います。『ナルニア国』誕生の物語です。要所要所つっこみどころがあって、特に初代ナルニア国王&女王様のくだりは「お前かーーーーーい」と全力でつっこみました。そんなこと、ある?

 ラストにディゴリーとポリーのその後が語られていたところを見るに、彼と彼女の冒険はこれで終わりなのだろう、そう思うと寂しくなりました。

 

 

 

 

 ほんの少しのネタバレになりますが「チャーン国のジェイディス女王の封印を解いてしまったディゴリーとポリー」というくだりだけ見ると、「えー、じゃあ悪い魔女のジェイディスがあらゆる場所で暴れまくって最後には再び封印するのかしら」という安直な予想をするわけですが、なんというか、事の大きさに対して結構あっけらかんとしています。悲壮感がないんですね。

 結局ジェイディス女王ならぬ魔女はナルニア国の世界に解き放たれ、ずいぶん先の未来において大いなる脅威となることをアスランに予言されたわけだけど、今、この瞬間のナルニア国にとってはそこまで脅威ではない(まあ、ディゴリーは魔女と対峙しましたけど)って部分に悠長な印象を受けまして、私はそこが私は面白いと思いました。のんびりしている。

 女王は一瞬だけディゴリー&ポリーが生きる世界にも出現するわけだけど、そこでのひと悶着もクスッと笑えるレベル(馬車を乗り回す挿絵が最高でした)。さて、この穏やかさがこの後の巻にも存在するのだとしたら嬉しいものだなあ、と思いつつ、答え合わせの為にも早めに2巻目に手とつけたいところです。この年になってファンタジーを読むのもいいものです。