8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

陳浩基『ディオゲネス変奏曲』感想

 陳浩基『ディオゲネス変奏曲』を読みました。

ディオゲネス変奏曲 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

 まず言っていいか(もしかしたら他のところで言っているかもしれんが)。

 早川書房の細長いタイプの本が私は好きだ!!!

 本当に好きだよ~~~このサイズ感が憎すぎる。奥付のところの記載によれば

 この本の型は、縦18.4センチ, 横10.6センチのポケット・ブック判です

だって。本文は二段組で、私自身は二段組だからと言って読みにくいなとは感じない(ただし「読んでも読んでも終わらねえな」とは思う)のでこのスタイルでも全然OK。むしろ小さなカバンにささっと潜り込ませることができる好きなサイズです。文庫本はある意味オーソドックスなサイズである分「ちょっと変わったタイプの本を持っているんだぜ★」という所有欲を満たせそうです。

 

 それはさておき、読みました。巧いミステリがたくさんあって痺れました。内容的に好みは分かれそうですが、乙一さんっぽさを感じるところ多々あり。このテイストはたまに読む分には刺激的かなと思います。

 特にこの作家さんとのファーストコンタクトでもあった『藍を見つめる藍』に衝撃を受けました(藍は「あお」と読みます)。巧い~~~。思わず紙に人物相関図(と言っても登場する人物はそれほど多くない)を書いて整理したほど、巧みに描かれていることがわかります。またオチも見事でして、歪んだ非対称性にぞくりとしました。また、作品のテーマとして「サイバーストーカー(ネットストーカー)」というキーワードにもぶつかる為、こうしてインターネット上に何かを書くということはどういうことなんだろう、と考えざるを得ませんでした。自分なりに気を付けているつもりでも…うーむ。

 他にも最後の『見えないX』は米澤穂信の「古典部シリーズ」を彷彿させる「人が死なないミステリ」で良かったです。でも言っていること難しくて追いつくので精一杯でした。面白かったです。