8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

ジェス『結婚するとは思いませんでした。』感想

 ジェス『結婚するとは思いませんでした。』を読みました。

結婚するとは思いませんでした。 (角川書店単行本)

 

dorian91.hateblo.jp

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 2020年から海外文学をまた意識的に手に取るようになって、2022年後半からは韓国文学も読んでいきたいなと思っている所存。アメリカ文学、イギリス文学、ドイツ文学、ロシア文学などなど、国それぞれの文学性みたいなものは捉えていないし、これからもそういう読み方はしない気がするけれど、韓国の文芸はそれはそれでユニークで、そのユニークさ、気になっているところなのかもしれない。

 『結婚するとは思いませんでした。』は、漫画家でありスタンプ作家でもあるジェスさんのイラストエッセイである。絵が可愛い。ほんとに可愛い。それだけで読んでて楽しかった。猫がたくさん登場するので猫好きな人も楽しめると思う。私は猫については好きでも嫌いでもないので、猫に関するエピソードについては終始「無」という感じではあったけど…。

 妻の隊長さんは元々はジェスさんのオタクで(SNS上などで反応したり公開ラジオ収録に足を運ぶなどといったオタ活をされていたらしい)だけど「付き合いませんか?」と声をかけたのはジェスさんというところが個人的にはとても面白かった。え、隊長さんからじゃないんだという点で。隊長さんはあくまでオタクとしてジェスさんを追っかけていただけで、恋愛的に好きになるかどうかは別という話。「オタ活」といわゆる「リア恋」が重なる人もいるけど、重ならない人もそりゃいるよなあ、という改めましての気づきであった。あとは、ジェスさんが隊長さんに言った「ここに好きなことと嫌いなことを10個ずつ挙げてください。嫌なことはやらないので」という声かけ、めちゃめちゃ気に入った。人が嫌がることはやらないというのは常識なんだけど、じゃあその嫌がることは何かということはなかなか言語化しないし、ましてや他人にも伝えない。好きなことと嫌いなことを言語化するの、私は好き。

 エッセイというのは、それがどういうジャンルであれ、自分と書き手を比べて自分を振り返り他者を知ることができるから読んでいて面白い。自分には縁遠いことでも読む分には何も問題ないとつくづくと思う。