「「十二国記」30周年記念ガイドブック」を読みました。
十二国記シリーズ好きなら楽しめるガイドブック。いや、そもそもガイドブックを読むのは十二国記シリーズに親しんでいる人か。
読みながら「ガイドブックを読むというのは何なのだろうか」ということを考えていた。そりゃあ、十二国記シリーズの読者であるから私はこのガイドブックを手に取ったわけだけれど、シリーズや作家に惹かれ熱心に読み続けるのはどういうことか、ということ。シリーズでいえばシリーズ通して描かれる世界に惹かれてのこと。作家であれば、作家が書いてきた世界に惹かれて、ということだろうか。
ガイドブックにはその物語世界の全容を知りたいというオタク心と親和性があるが、私は今回のガイドブックを読んですべてを知ることができるなんて不可能なのだという気持ちを強くした。それはネガティブな感情では決してなく、「そうだよね」という納得感に近い。十二国記の世界は著者の小野先生の頭の中から生まれるが、なんというか自発的?に存在しているものだと思う。何が言いたいのかと言うと、十二国のすべてが今後、明らかになることは多分無い。このシリーズは全てを明かすようにはできていないということを教えてくれたのが本ガイドブックであった。
小野先生の心の向くままにあの世界を描く物語が少しでも世に生まれますように。私はそれを読めますように。そう願える作品に出合えただけでも僥倖なのだろうという気がしている。