江國香織さんの『つめたいよるに』を読みました。
どの話も短く不思議な読後感で面白かった。目次をノートに写して(読書ノートをつけたりつけなかったりしている)書いた目次のところに特に好きな短編ならマルをつけていく。『デューク』『ラプンチェルたち』『さくらんぼパイ』『ねぎを刻む』『コスモスの咲く庭』『冬の日、防衛庁にて』らへんが好きです。
特にお気に入りは『冬の日、防衛庁にて』。防衛庁?なんだか厳めしい。と思ったら今は東京の市ヶ谷にあるけれど、移転前は六本木にあったとか。東京ミッドタウンがある場所にあたるのかしら。そういえば市ヶ谷らへんを散歩したときに、どうにも高い石垣というか塀が連なっているもんだなぁ…と思ったら防衛省の敷地だったという記憶があります。六本木なら確かにイタリア料理のお店はあるでしょう。にしても、防衛庁が入ったタイトルがまた見事。
『冬の日、防衛庁にて』は不倫相手の女が妻とイタリア料理店で食事する本当に短い話。でも最高です。女のたくましさに胸が打たれる。「あの人には今日の食事会は内緒ね、驚くから」というような妻の台詞に感じる強かさです。
でも私はこの人の敵でさえない。(p.197)