8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』感想

坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を読みました。 書き手の坂本龍一という人の気配が濃かった。そして、坂本龍一は、もうこの世にはいない。 死に対する考察よりも、自分の生についてひたむきなテキストだったと思う。それは同じことを言ってい…

武田砂鉄『わかりやすさの罪』感想

武田砂鉄『わかりやすさの罪』を読みました。 「わかりにくい」を断罪しない余裕と深みを持つ、ということを考える。他人の間違いを自分を優位に立たせるための手段にしない、ということは以前から考えていることだが、わかりやすさを所望してしまう心には、…

小林聡美『聡乃学習』感想

小林聡美『聡乃学習』を読みました。 エッセイを立て続けに読んでいると、当たり前ながら文体がそれぞれ異なることが不思議でならない。同じであることがあり得ないのにもかかわらず、これほどまでに文体が違うことに違和感を感じてしまう。その文体、どこか…

又吉直樹『東京百景』感想

又吉直樹の『東京百景』を読みました。 単行本で読んだのだけど、装丁がめちゃめちゃ好きだと思った。あのぐらいのサイズの収まりの良さは、所有欲を掻き立てるものがある。デザインも素敵。 又吉さんの書くものを初めて読んだ。面白かった。色々考えている…

村上春樹『女のいない男たち』感想

村上春樹の『女のいない男たち』を読みました。 気に入ったのは「独立器官」と「木野」だった。つくづく私は小説をちゃんと読めていないのだなあと思うのは、こうして振り返ったときに何も思い出せないことである。「木野」については、彼が営むBARに行って…

イ・ラン『悲しくてかっこいい人』感想

イ・ラン『悲しくてかっこいい人』を読みました。 中でも「もう少し演技しないと」というエッセイが好きだ、と読書ノートには書いている。もうエッセイの内容は忘れてしまったけど。本を読むというのは、瞬間的な体験?だなあと思う。つまり、読んでいるとき…

ベン・H・ウィンタース『世界の終わりの七日間』感想

ベン・H・ウィンタース『世界の終わりの七日間』を読みました。 隕石が落下するまでの七日間、大切な妹に会うために終わりの世界を奔走する男の物語。世界の終わりが顕わにする人々の本性。最後の終わり方がとても(とても)良かった。それはこの物語を読み…

恩田陸『メガロマニア』感想

恩田陸『メガロマニア』を読みました(2023年5月)。 中南米紀行エッセイである。写真が所々挟みこまれているのがいい。紀行文だけでなく、写真が時々挟まれるエッセイが(そして小説も)とても好きである。にこりとしてしまう。小見出しが短く区切られてい…