武田砂鉄『マチズモを削り取れ』感想
武田砂鉄『マチズモを削り取れ』を読みました。
まずタイトルがいいよね。「削り取れ」という言葉には、「こびりついている」というニュアンスが含まれる。それを削り取らないといけない、と主張する本だ。
私にはこういうことについて話し合うことのできる人がほぼ皆無なので、他の人がどういうことを考えているのか知りたい。私は性自認が女性であるが、男性はどう思うのだろうか。わからない。
これは私の考えなのだけど、感情と事実を分けて考えないと進まないだろうと思う。もちろん感情はとても大切で、作中の編集者の檄は尤も、そういう憤りが社会を変えていくと思うのだけども、一方で「戦略」も必要ではないか。私はあんまりそういう怒りを感じない、感じないでやってこれた、と思うので負い目がある。そもそも世界に期待をしていない、というのもある。
そして、突きつけられた(と思っている)側も、感情と事実を分けて考えてほしい。そして大事なことなのだけど、別に「あなた」を非難しているわけではない、ということ(ただし「あなた」にも関係があることだ)。自分が攻撃された、蔑まれたと思って、拗れるのはお門違いだと思う。そう思うのも宜なるかなと思うけど。建設的に考えていきましょう、という話になる。学んでいきたいし、私も削る為の実践を考えていきたい。
小林聡美『聡乃学習』感想
小林聡美『聡乃学習』を読みました。
エッセイを立て続けに読んでいると、当たり前ながら文体がそれぞれ異なることが不思議でならない。同じであることがあり得ないのにもかかわらず、これほどまでに文体が違うことに違和感を感じてしまう。その文体、どこから。
小林聡美さんのエッセイを読みました。エッセイはその人の着眼点を浮き彫りにするものなので、自分のものと違う視点に驚くばかり。また、自分より年上の方のエッセイを読むと気が引き締まります。それは遅かれ早かれ私も経験する未来の話であり、人は自分が当たり前だと思っていることはあんまり書かないものです。小林さんは自分の発見や驚き、疑問を、自分の状態を交えながら書いているので、「ほほう、そういうことがあるのだなあ」と勉強(という表現は適切では無いかもしれないけれど)になるのでした。
又吉直樹『東京百景』感想
又吉直樹の『東京百景』を読みました。
単行本で読んだのだけど、装丁がめちゃめちゃ好きだと思った。あのぐらいのサイズの収まりの良さは、所有欲を掻き立てるものがある。デザインも素敵。
又吉さんの書くものを初めて読んだ。面白かった。色々考えている人なのだなと思った。この人に比べて、自分は想像力が豊かではないと思った。自分の思考パターンとして、あまりIfは考えないのかもしれない。一方又吉さんのエッセイには「もしも」がよく登場する気がして、世界がダブっているような感覚を覚えた。