坂木司さんの『アンと青春』を読みました。
『アンと青春』は、赤毛のアンの『アンの青春』を意識されたものなのだろうか。青春…アンちゃんの青春…?なのか。その点読者それぞれで判断していただきたく。
このシリーズは美味しそうな和菓子×個性的な登場人物×日常ミステリーが化学反応を起こし、まあ多くの人におすすめできる作品だと思っていて、今回も案の定面白かった。アンちゃんこと杏子が背伸びしない、悩んだり元気だったり、素直なところが好ましいのです。そして読み終わるとデパートの和菓子売り場に駆け込みたくなる。
和菓子が「毒」になる、という話が面白かった。和菓子そのものはとっても美味しいけれど、同時に和菓子とは歴史が詰め込まれたものでもあって「わかる人にはわかる」という性質を利用した嫌がらせ。あてつけ。和歌にもそういうところがあって、教養ある人たちの知的遊戯みたいなところを感じる。
実感と知識を丁寧につなげようとするアンちゃんの姿勢は見習うものがあると思いました。