8月2日の書庫

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アガサ・クリスティー『スリーピング・マーダー』感想

 アガサ・クリスティーの『スリーピング・マーダー』を読みました。

スリーピング・マーダー

 

 ※ネタバレありです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初に言っておきたいのですが、新婚グエンダの旦那さんが犯人じゃなくて良かった!本当に良かった!最悪、それだけ言えればいいです!でも感想を続けます。

 やっぱり犯人が当たらない。クリスティー作品を読んでいるはずなのにな。最後まで「グエンダの夫が犯人だったらどうしよう…めそめそ」と思っていました。結果的にはグエンダの義母ヘレンの義兄が犯人でしたが、うーむ、クリスティお得意の焦点ずらし(犯人候補は三人ほどいたが、ケネディ医師はそこには入ってなかった)に騙されたのでした。まあ、ジャイルズじゃなくて良かったです。

 ミス・マープルの行動力に驚きです。やっていることはお節介なおばさんなのに、お節介さがマイルドになっているのは彼女の聡明さ故でしょうか。同じことをやってもはた迷惑に思われる人もいるだろうに。だからこそこれほどまでに多くの人に彼女が愛されているのでしょう。頭の中に豊富な人物批評データベースを持ちながら、それに変に依拠しない、こだわらない、固執しない、偏らない、彼女のバランス感覚が好きです。