8月2日の書庫

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江國香織『きらきらひかる』感想

 江國香織さんの『きらきらひかる』を読みました。

 

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

 

 

 確か1991年刊行。そこから28年経った現代日本社会はまだ同性婚は法的には認められていません。んんん?そうするとまた話はややこしくなる。もうこの本の舞台が2019年だったら?笑子と睦月は結ばれたのだろうか。二人の愛は成立したのだろうか。・・・。なんというか愚かな疑問なのかもしれない。

 様々な愛の形があっていいはずだ。主に外的圧力によって自分たちの愛の形について悩んでいるすべての人たちに贈る物語、という感想を抱いた。本人たちのことは、本人たちにしかわからないことがあるものね。にしても笑子と睦月と紺を取り巻く人たちのわかってくれなさ、がつらい。全然わかっていない。認めていない。自分たちの理想をただ押し付けているだけの姿が悲しかったです。自分も他人に対してそんな振舞をしていないといいな、これからはもっと自覚的にあらねば!と思いました。破天荒というか、笑子の笑子らしさ、危なっかしいからこそ目が離せなかったし、アル中ではあるのだけど、お酒の描写読んでいてすごく好きだった。