8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

恩田陸『きのうの世界』感想

 恩田陸さんの『きのうの世界』を読みました。

きのうの世界

 

 こちら再読で、てっきりこちらで感想書いていると思っていたら、2017年の読了。このブログを始める前に読んでいたので感想は書かれていなかったですね。最近、自分が読んだ本を記録が残っている限り全部Excelにまとめたので、過去自分がどんな本を読んだのか調べやすくなりました。

 相変わらず面白い。話の筋としては「えええええ」と驚いてしまうものなのですが(本当にそのようなことがありうるのか、というツッコみもあります)それはそれとして、でも面白いんです。

 恩田陸の小説は、とにかく登場人物が想像力豊かで聡明でおしゃべりだなぁと思っていますが、同時に地方都市を描くのが巧いと感じます。人々の噂話や外部からやってきた人間への警戒心、それが閉鎖的な環境でどんどん増殖していく怖さがこの『きのうの世界』でも描かれていると思います。

 また、この話は「孤独」の話でもあります。

 上司の送別会の帰り、突如失踪した市川五郎という人間。記憶に残りにくい相貌、他人と如才なく付き合うバランス能力の高さ、そんな彼の、外部からの評価と内面の心情とのギャップ。作中登場する「あなた」もそうですが、人がどれだけ考えていてもそれって他人にはまるで伝わっていなかったり誤解されたり、人間って孤独だな…。このギャップは、人間である限りどうしようもないし、それを悲観しない方向で生きていく他ないのではないかとか、色々考えてしまいました。

 

 本の装丁も好きなので単行本で手元に置きたいなぁ。あとキャラメル舐めたくなった。箱が欲しい。

 

追記 2020/09/14

あれからコンビニで森永のミルクキャラメルを見つけたので買っちゃいました。ほどほどに食べようと思います。これ3箱買いは確かにやばいな…