デイヴィッド・ミッチェル『ボーン・クロックス』を読みました。
まず言っていい?
この本は、私的ブックランキング2021年のトップ10に入ります!!!ぱちぱちぱち(日本では2020年刊行だけども)
めっちゃ面白かった。本当に面白かった。長かったけど、夢中で読んだ。本当に夢中で読みました。定価で5400円するんですけど、これは買いだな~(図書館から借りて読みました)。そのうち自分で買います。ええ。買います。
世界幻想文学大賞受賞ということで、私はここで「幻想文学とは?」という話になるのだけれど、おそらくこの本は「幻想文学?向こうから来い」という感じで、本当に幻想文学の方から『ボーン・クロックス』に寄ってきた、そういう感じがします。SFとも言えそうだし(言えないか)ファンタジーとも言えるし(それは言えそう)終末世界をえがいた話でもある。
主人公であるホリー・サイクスが十代の頃、エスター・リトルと出会うシーンが何よりお気に入りだ。緑茶をもらうところ。その出会いの真の意味を知ることになるのはずっと後になるが、真実を知った時ゾクッとした。とんちんかんな会話をしてらあ、と思っていたけど、全然意味通じる、そういうことだったんだ…。あとはホリーの弟であるジャッコが彼女に迷路をプレゼントするところとかも。鳥肌です。
この物語は<時計学者>と<隠者>という勢力の闘争の物語でもあるのだけど、結局は、ホリー・サイクスという一人の女性<ボーン・クロックス>の物語であるということが大きい。タイトルもこれ以上ないタイトルだと言えます。
小説を読むことはいつも楽しくないわけではないけれど、『ボーン・クロックス』はかつて物語に心底夢中になっていたときの興奮を思い出させてくれました。幸せな読書体験でした。