8月2日の書庫

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クレイジーと愛の物語/伊坂幸太郎『オー!ファーザー』感想

 伊坂幸太郎さんの『オー!ファーザー』を読みました。

オー!ファーザー (新潮文庫)

クレイジーの物語

 この話でも、とんちんかんなやり取りが随所に見られた。それらの意味が分からないやり取りは味がありフフフっと思わず笑ってしまうポイントで、楽しいなぁと思う。

 由紀夫の同級生の多恵子と幼馴染(?)の鱒二がトラブルメイカーのような、黒板に爪を立てて引っ掻いたような不協和音をもたらす登場人物として暴れ回っていた気がします。由紀夫の都合も考えも我関せず、遠慮なく会話を引っ張っていく多恵子、明らかに由紀夫を巻き込んでいるのに楽観的で申し訳なさをあまり感じて無さそうな鱒二。読みながら結構苛ついてしまった、のが正直なところだけれど、それらの苛立ちと物語の展開が混とんとしてきて最後には伏線が見事につながる様を楽しむうちに、なんだかどうでもよくなってしまった。ごめんよ、多恵子ちゃんと鱒二君。

 伊坂さんの作品を読んでいると必ず意味が分からない思考の持ち主が登場するので読んでいて楽しいし、安心します。「意味が分からない」というのは、例えばある会話があったとしてその返答が絶対私の脳みその中には無いもの、想定外の切り返し、ということです。色々な人がいるし、色々な人がいていいんだよなぁ…とそんな時私は思います。日常に疲れて、いやいや、元々私の器量が狭いのだろう。反省。今回もクレイジーな人がたくさん登場しています。私の中の富田林さんのイメージは、小日向文世さんです。映画で実写化されているけれど、富田林さんは小日向さんではなかったです。念のため。

 

愛の物語

 父親たちの言葉の端々、行動や姿勢から、ああこの人たちは由紀夫のことが大好きで大切に思っているのだなーというのが十分に伝わってきました。だから安心。さらに安心。由紀夫は大丈夫だし、これからも大丈夫。そういう話でした。

 

 

 楽しかったです。

 

 伊坂幸太郎さんの『オー!ファーザー』を読みました。