恩田陸さんの『私と踊って』を読みました。
私の読書体験を語る上で、恩田陸さんの作品は欠かせない作家さんになってしまいました。恩田陸作品を読むことで「わからないことをそのままにしておいてもいいや」「意味が分からないがあるのだな」ということを私は知ったのです。短編だとなおさら語れることは少ない。唐突に物語が始まり、あっという間に終わる。何が何だかわからないまま。その感覚に抗うのではなく委ねてみるのも面白いものです。
印象的な話は「心変わり」「台北小夜曲」「劇場を出て」あとは「東京の日記」でしょうか。『中庭の出来事』や『ブラック・ベルベット』で登場した人物たちが登場するのも恩田陸作品のファンとしては「ふふふ」と笑みがこぼれてしまうところ。
心変わり
あとがきにあります。
他人の机や書斎、仕事場を見るのはその人の脳味噌を覗くようでとても面白い。
私も同意見です。何を使うか、何を整えるのか(あるいは整えないのか)、物の配置、椅子の高さなどでその人らしさなどがわかる。わかったような気になる。わかるものだと思っている。実際、わかることはあるでしょう。あらゆるものがその人らしさを推理する材料ですから。終わり方が少々意外でした。意外じゃないのだけれど、割と現実的に終わる(恩田陸が、と考えるとやや現実的、という意味です)。
台北小夜曲
街の情景描写が好きです。そして主人公相変わらず脳内でよく思考し、よく喋る。
劇場を出て
あっという間に終わってしまうのだけれど、既存作品とどこか繋がるような気もしていてわくわくします(『チョコレートコスモス』に出てきたあの子かな?とか)色々な意味にもとれるところも好きです。少女は「このままの私」でいいと思って駆け出すのか、それとも新たなる変身を遂げるために胸躍らせながら駆けるのか。どちらとも取れそう。もちろんそれ以外も。
東京の日記
和菓子が出てくるのが好き。私の理想的な日記。大学ノートにただただ書いていくなんて、素敵じゃありませんか?こういう日記、書きたい。書きたい。
久々の感想でしたが、本の感想って気合いが要るものなのだよな。良いことかっこいいこと言わないと、みたいな。変に気構えてしまう。頑張るのもいいのですけれど、それだと永遠にブログ更新できないですし、あまり慣れないことをするのも疲れるかなと思い、楽に感想書いていきたいですね。せっかく本を読んでいるのだから、感じたことはまとめておきたい。
ということで、恩田陸さんの『私と踊って』を読み終わりました。