小川洋子さんの『不時着する流星たち』を読みました。
どことなく不穏。ぎこちなく、色んな人の「ズレ」がそこにある。私は「ズレ」と書くのだけど、小川さんの小説を読んでいると「んんん?」と思うところが必ず出てくる。第一話「誘拐の女王」で登場する語り手の姉は、裁縫箱を手放さない。裁縫箱?何故?他にもカタツムリとか測量とか文鳥とか臨時の実験とか、絶対「何で?」というところが出てくる。でもそれって普段見えていないだけで誰しも一つや二つ、そういうところがあるのではないか。全員が「一般的」の名のもとにおかしくないなんてことがあろうか。そもそもおかしいのだろうか。何と比べて?
小川さんの小説はそういうところが絶対登場するのであり、「ズレ」がこの上ない魅力なのだと思う。小川さんらしい、といえば、らしい。
好きだなと思ったのは第七話「肉詰めピーマンとマットレス」でした。