恩田陸さんの『灰の劇場』を読みました。
感想にするのが難しいと感じます。うまく言語化できていないです。二回読んだ今もそれは変わらない。もしかしたら「感想としてまとめない」というのが感想になるのかもしれない。恩田作品だと『中庭の出来事』に近い作品です。『灰の劇場』の方がわかりやすい構造なのに、印象がふわっとしているのが不思議です。『中庭の出来事』の方がよほど輪郭が濃かった。
印象に残っているのは最後に登場するハムトーストと、遺灰ですかね。ハムって確かに二枚重なっちゃうときあるなあ、と思って。この作品の終わり方が私はとても好きです。悲しいけれども。
結局完成された舞台で用いられるのは砂でした。なんだか遺灰っぽい。砂は砂時計にも用いられるし、風化のイメージもある。朽ちるもの。去っていくもの。流れていくもの。消えていくもの。「灰の劇場」というタイトルが生きています。