恩田陸さんの『球形の季節』を読みました。
読書歴の中でも比較的初期の頃に読んだ一冊を再読しました。
面白かった…。漠然と覚えていることもあったけれど、大部分が抜け落ちている中でパズルのピースを拾い集めるかの如く読む作業は楽しかったです。作中に登場する「るいす」のミルクティーが飲みたい飲みたいと思っていた小中学生時代でした。今や喫茶店に行くことも比較的容易になった社会人…。私のカフェ好きはここらへんのあこがれもあるやもしれません。
この話は、学生時代に私自身も経験した「何者かになりたい自分」と「なれない自分」の葛藤、そして一地方都市の閉鎖性とどことなくのんびりした感じが化学反応を起こして生まれたものであると思っています。結果、ものすごく不穏で不安でドキドキして怖い小説でできてしまった。学園ものらしい他愛のないやりとりにニコニコすることもあれば、親が子を思うことの、狂気を孕んだ愛の断片に恐怖したり(私は自分の親が石をひたすら石を探すところを見たくありません)。この話、怖いんです。ホラーじゃないんですけれど、でも怖いってところが、魅力だと思います。
定期的に戻ってくる作品だと思います。面白かったです。